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【Rock】Coldplayの新作となる8thアルバム「Everyday Life」が微妙な件

エヴリデイ・ライフ

Coldplay「Everyday Life」★★☆☆☆

僕自身、自他ともに認めるColdplayのファンです。

ファンなので、基本的にどんな作風になっても彼らを嫌いになることはありません。

内向的でアコースティックな作品でも、垢抜けたシンセを多用したポップスでも、僕は彼らを無条件に歓迎してきました。

それはひとえに、彼らほど現代の世情を大衆音楽に昇華するバンドは他に見当たらないからです。

これはメンバーがイギリス出身ということにも関わらず、そのアイロニーな表現がわざとらしくないのも、巷での印象を良くしてきたように思います。

(この辺は明らかにU2とは違うわけであります。)

そんな僕ですから、上に貼り付けたように、当ブログでもColdplayの記事は最多かもしれません。

特に前作の「A Head Full Of Dreams」(2015年発表)は、過去と現在のColdplayがバランス良く配分された、近年まれにみる大傑作だと今でも思っています。

安直に言えば、静と動、もしくは陰と陽、といった対立軸がしっかりとバンドの骨格を貫いておりまして、非常に奥行きのある作品に仕上がっておりました。

未聴の方は、今からでも遅くないのでチェックしてもらいたいですね。

A Head Full of Dreams

A Head Full of Dreams

 

さて、そういうわけで前作から4年。

驚異的な規模で行われたワールドツアーも一段落したところで、最新作となる「Everyday Life」がリリースとなりました。

何と、本作は2枚組。

その中身は「SUNRISE(日の出)」と「SUNSET(日の入り)」に分けられていて、1日という限られた24時間をテーマにしているそうです。

僕の第一印象は、正直言って、微妙な構成だな、、、と。

コンセプトアルバムにしては、全体の流れがちぐはぐに感じました。

Coldplayともあろう方々が、これは一体どうしたことでしょう?

醸し出す雰囲気にしても、前作から一転、メランコリックで重たい世界観が全体を覆っています。

これにより、初期からのファンにしてみれば、良い意味で、その精神性や曲調からノスタルジックな印象を受ける向きもあるかと思います。

(僕も一瞬、原点回帰なのかと思いました。)

でも、そうじゃないっぽい。

どうにも、楽曲の質感がシングルB面の曲を集めました的な佇まい。

派手とか地味とか、そういう次元ではなく、単純にフックが効いていないアレンジの影響で、右から左へ楽曲が通り過ぎていくのです。

魅力的な曲がない。

これは一体どうしたことでしょう?(2回目)

例えば、バラード系の楽曲が多いのは、特に不満要素ではありません。

むしろ、僕の趣味としては歓迎したいぐらいです。

しかしながら、1曲もないんですよ。

「Fix You」のような、明快なカタルシスを与えてくれる楽曲が。。。

これには、生粋のColdplay好きな僕も参りました。

1度や2度の試聴では、全く分からないような難解な世界が広がっているということでしょうか?

否、Coldplayの良さとは世代を超えて愛されるポップス性にあります。

一聴して、雷を打たれたように好きになってしまうのが、彼らの楽曲の特徴です。

(これはデビュー時から不変のスタイルです。)

けれども本作に限っては、ある程度咀嚼する必要があるということでしょうか?

それと、彼らに関して気になるニュースが巷でも話題になっています。

引用すると、以下の通りです。

・イギリスの人気ロックバンド「コールドプレイ」が環境への負荷がかかることを理由に世界ツアーを行わないと発表し、話題になっています。

・マーティンさんは新アルバムの発表に合わせた世界ツアーについて、観客が飛行機で移動することで大量の温室効果ガスが排出され、環境への負荷が大きいとして行わないことを明らかにしました。

・コールドプレイは今月25日にロンドンでチャリティーライブを開き、収益は全額、環境団体に寄付することにしています。

何だかU2みたいになってきたな、、、という印象はさておき、これは賛否両論でしょう。

環境と一口に言ってもピンキリですが、それでは電気を大量に消費するレコーディングはOKなのか?という意地悪な疑問も湧いてしまいます。

他方、環境破壊が世界的にも再び大きなトピックになっている現状も見逃せません。

とはいえ、音楽販売事業が年々衰退していく中で、各国のレーベルはサブスク配信、そしてライブなどの興行収入に活路を見出している時代なわけで、問題提起としては非常にインパクトがありますね。

しかも、これを新作の発売日に公表するという、ダブルインパクト。

ファンにとっては、悲喜こもごも、といったところが素直な反応ではないかと思います。

エヴリデイ・ライフ

エヴリデイ・ライフ

 

私見として、バンドでも何でもそうだと思うのですが、長期的に安定していくと、そこに反対意見を唱える人は必ず減ります。

そこまでに至った成功体験が自分を最も信じる価値となってしまうからです。

蛇足ながら、これは今の政権も同じです。

周りがイエスマンだらけになった時が、非常に危険なのです。

方や、Coldplayもそうだとは言いません。

しかし、環境のためにツアーをしないというバンドの判断に、マネージメントは一体何をやっているのか、ということです。

影響力のあるアーティストだからこそ、大変意味のある行動にも見えますが、個人的には偽善的で独善的にも感じましたし、異を唱えるスタッフが全くいなかったのかと不安になります。

非常に残念な事態でして、これはもう、落胆の感情に近いですね。

空間芸術であり、即興芸術である音楽の生演奏を体験出来ないなんて、何だか書いていて空しくなってきたので、中途半端ですがこの辺で終わりにします。

おとなしく、次回作に期待することにしますね。。。