【Hard Rock】Joe Lynn Turnerが脱退?Sunstormの新作「Afterlife」は波乱に満ちながらも盤石な船出!
Sunstorm「Afterlife」★★★★★
SunstormはあのJoe Lynn Turnerのソロプロジェクト的なバンドとして、すでに5作品ほどがリリース済みです。
AOR由来のメロディックなハードロック好きには、鉄板とも言えるサウンドデザインですよね。
当ブログでも過去にレビュー済みなので、この機会に当該記事を貼り付けておきます。
彼らのバンド結成の経緯までは分かりませんが、何はともあれJoe Lynn Turnerを軸として、サウンド面ではDennis Wardが全面サポートするような形で始まりました。
Dennis Wardとは皆さんご存知の通り、Pink Cream 69のリーダーです。
ところが、本作にはJoe Lynn Turnerのクレジットが見当たりません。
要するに、不参加となっている模様です。
え!?
そもそもJoe Lynn Turnerありきのプロジェクトだったはずなのに??
これには筆者も驚きを隠しきれません。
当のJoe本人がコメントを出していたので、以下に引用したいと思います。
「サンストームが発展していくにつれ、レーベルのハウス・バンド・プロジェクトのようなものになっていき、自分が参加することにあまり興味を持たなくなっていった」
「次のステップに進む時が来たと思った」
by Joe Lynn Turner
あー。。。
これはもう「脱退」ですね。
全国数千万に及ぶ?ジョーリンファンの皆々様には、至極残念なお知らせです。
ファンにとって、Joe Lynn Turnerと言えば、やはりRainbowですかね。
人によってはYngwie J. Malmsteenの傑作アルバム「Odyssey」から知ったという方もいるでしょう。
彼については、改めてここで言及するまでもありませんが、特筆すべきは歌唱力の高さはもちろん、その豊かな中低音のサステインがとっても魅力的なんですね。
加えて高音に至るファルセットも印象的。
総じて、表現力の高さがずば抜けているボーカリストの1人です。
特にHR/HM界隈においては、彼に魅了されたアーティストは少なくないと思います。
実際に彼がゲスト参加した作品なんて数えきれないほどあるわけですから。
さて、肝心のSunstormの話に戻ります。
予想に反して、本作の出来は良かったです。
いや、とても素晴らしかったと思います。
傑作、と言わざるを得ません。
何よりも、これまでのSunstormらしい世界観がしっかりと体現されていたんですね。
ボーカルの交代でその世界観に綻びが生じるのではないかと身構えておりましたが、全くそんなこともなく、むしろ全体的にブラッシュアップされた印象さえ持ちました。
これは新ボーカルのRonnie Romeroのおかげでしょう。
まさにグッジョブです。
各楽器のアンサンブルにも安定感がありますし、特にギターリフやギターソロのアレンジは楽曲のスパイスとしてきちんと機能しています。
ハードロック自体がオールドスクールなジャンルに属するとはいえ、決して懐古主義に陥ることなく、モダンなAORとしてリスナーに訴求しようしています。
これがもし、今まで通りのジョーリンのボーカルだったなら、懐古主義やノスタルジーといった側面は明らかに強調されたでしょう。
良くも悪くも、ベテランの作品とは遍くそういうものだからです。
(僕はそれがまた好きだったりしますけども。)
正直言って、2021年のハードロック界隈に鮮烈な衝撃を与えるにふさわしい作品です。
かつてのSunstormにはなかったような、現代的なエッヂの効き具合がとても気持ち良いんですね。
これを単純に「若返り」なんて言葉で表現するとジョーリンには大変失礼になりますから、あえてそうした表現は避けますけれども、幸か不幸か、Sunstormとしての再出港は見事に成功したと言えるでしょう。
もちろん、これがセールス的な成功に結び付くのかどうかは分かりませんけどね。
全11曲、約46分というアルバムの構成にも文句なしです。
思わずドライブのお供になりそうな、爽快感あふれるハードロックアルバムに仕上がっています。
これからの季節に、ぜひライブラリに加えてみてください。
俄然、今後の活動が楽しみになりました。