Gothic Slam
歴史の波間に埋もれたマイナー系バンドを発掘する企画、3回目。
今回はアメリカ東海岸出身のGothic Slamに光を当ててみたいと思います。
彼らは1987年に結成してから、1993年頃まで活動していました。
USスラッシュメタルに詳しい方じゃないと、なかなか憶えている人も少ないのではないでしょうか。
公式には2枚のアルバムがリリースされており、特に2作目「Just a Face In the Crowd」はお勧めです。
土台となるサウンドはスラッシュメタルですが、東海岸出身らしくNYハードコアな成分がちりばめられており、同時期のExodusやAnthraxが好きな方にもピンと来るものがあるはず。(特に5曲目「Feel The Pain」が良い感じですよ。)
しかも、4曲目にはThin Lizzyのカバーです。
この意味を調べてみると面白いのが、プロデューサーにWackoの愛称でお馴染み、イギリス人のRob Hunterを迎えて製作されているんですね。
この人はRavenというNWOBHMの名バンドに在籍していた方なんですよ。
(彼はGothic Slamのようなクロスオーバー系スラッシュメタルバンドのプロデュースを数多く手掛けています。)
例えばメタルとハードコア、つまりジャンルとジャンルが文化衝突を起こした時の爆発力、瞬発力は時代を切り開くパワーの源となります。
Gothic Slamにしても、ハードコア魂がメタル化した典型的なUSスラッシュメタルとして、このまま歴史に埋もれてしまうには惜しいバンドと言えるでしょう。
ちなみに、ここで言うメタル化というのは、テクニカルスキルの向上と同義に語られるところでして、パンクブーム衰退後、確かな演奏技術によって自らの地位を確立していったヘヴィメタルならではの時代背景も見逃せませんね。