【Hard Rock】Treatの元メンバーが立ち上げたメロハー5人組、Daltonについて【隠れた名バンド#001】
Dalton
メジャーなバンド作品の陰で歴史に埋もれていた傑作を紹介する「隠れた名盤」シリーズ、っていう企画をはじめてみます。
個人的に名盤の定義が曖昧だったので、歴史の波間に埋もれたマイナー系バンドを発掘する企画にしたいと思います。
タグも隠れた名盤、、、ではなくて「隠れた名バンド」に変更。
なぜ今になってこういう事をやるのかと言いますと、新しい音楽が次々と生み出されていく中で、古いサウンドに触れる機会が段々と減っているように思うんですね。
(ほとんどの)音楽は、歴史的な参照点が必ず存在すると言われています。
それこそ20年ぐらい前のバンドまでは、その参照点がしっかりと古い作品にありました。
けれども、現在は違いますよね?
例えば、ブランキー・ジェット・シティに影響を受けたと公言するアーティストは、恐らくストレイ・キャッツやスージー&ザ・バンシーズをリアルタイムで通過することなく、音楽を生産しています。
つまり、以下のような図式です。
↓(影響受ける)
↓(影響受ける)
↓(影響受ける)
椎名林檎やアレキサンドロスなど
時の経過とともに、古典的成分が希釈されていく過程がお分かりでしょうか。
この点を考えますと、今のシティ・ポップのリバイバルって面白い現象ですよ。
元はVaporwaveを起点としているのは言うまでありませんが、ここまで幅広い世代に浸透したっていう事実は見逃せません。
もしかすると、若い世代にはシティ・ポップが「新しく」聴こえている可能性もあります。
上に書いた希釈の話ですと、当時の山下達郎やオメガトライブは徹底的に洋楽志向を極めていたわけですから、それはもう非常に濃いカルピスのような音楽ですよね。
もちろん、ここでいうカルピスの原液はアメリカの音楽カルチャーを指します。
これは今の若い世代に限らず、当時のシティ・ポップが絶妙な希釈濃度と言える時代となってきたのではないでしょうか。
(裏を返せば、現在の邦楽には希釈され過ぎた楽曲が多いことを示唆しています。)
前置きが長くなりましたが、過去の傑作に触れることはさらに面白い音楽体験を得ることのきっかけになるのではないかと思い、本記事を書いている次第です。
特にDJという立場にある方なら、古典の重要性を今ここでお伝えするまでもなく、知ってて当然の世界であろうと思います。
各ジャンルによって歴史は異なりますが、それでもターニングポイントとなったアーティストを時系列で理解しておくことは、客演するにあたり、とても重要なポイントです。
DJとは、機材を操る職人であり、そしてまた歴史の研究家でもあると、僕は思うのであります。
ということで、こちらでは主に1980年代~1990年代あたりのRock、Punk、そしてHR/HM系のバンドにフォーカスしたいと考えています。
世代的に僕のルーツがその辺になりますし、リアルタイムで聴いていないものをドヤ顔で紹介する自信を持ち合わせておりませんので、それより古い時代は他の先人方に譲ります。
また、マイナー系バンドの「隠れ具合」につきましては、あくまでも僕の個人的な主観で判断しておりますので、その旨ご了承ください。
それでは、今回はDaltonというバンドをご紹介します。
デビュー作「The Race Is On」は、1987年のリリースでした。
Treatの元メンバーが中心となって立ち上げたバンドですので、ジャンル的にはハードロックですね。
しかも北欧、スウェーデン産ですから、哀愁たっぷりなメロディアス系に属します。
僕は3曲目「Losing My Mind」がお気に入りなので、チェックしてみてください。
メロディアス・ハード、略してメロハーという言葉は本当に便利でして、基本的に同類の音源を紹介する際はこの「メロハー」の一言で済みます。
得てしてそれは、北欧らしい透明感のあるサウンドを指しますが、その背景としてシンセサウンドが大きな役割を果たしていることは間違いありません。
また、リバーブなどの一連のサウンド効果におきましても、明らかにUS産とは異なるベクトルでマスタリングされているのがよく分かります。
ちなみにDaltonは2枚のアルバム(「The Race Is On」と「Injection」)を出してから音沙汰なしの状態でしたが、2014年に突如復活。
音楽性も変わることなく、健在っぷりをアピールしているので聴き比べてみるのもいいかもしれません。