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【怪談レポ】自分史上、最高の怪談を体験した夜のこと【稲川淳二】

MYSTERY NIGHT TOUR 2018 稲川淳二の怪談ナイト ライブ盤 [DVD]

2019.10.19.sat日向市文化交流センター

「MYSTERY NIGHT TOUR 2019 稲川淳二の怪談ナイト」

何を隠そう、子供の頃から稲川淳二のファンであります。

特にここ15年ほどは毎年欠かさず、公演にも足を運んでおります。

淳二(ファンは親しみを込めてこう呼びます。)がTVに出演する機会はめっきりと減りましたが、こうして毎年のように全国ツアーを開催してくれることには、感謝しかありません。

企画及び制作スタッフの皆様含めて、まずは御礼申し上げます。

そして今年も行って参りました。

選んだのは宮崎県(日向市)での公演。

僕がこの公演を選んだのにはワケがあります。

例年、怪談ナイトの最終公演は沖縄と決まっておりまして、ツアーの千秋楽という位置付けですが、傍目からすると打ち上げも兼ねているような雰囲気があります。

(以前から、淳二もそのように仰っています。)

従いまして、今回の宮崎公演が本土での最終決戦、云わば実質的な千秋楽となるのは自然の摂理。

(今回も、淳二はそのように仰ってました。)

加えて、運良くがぶりつきに近い良席でしたから、期待値は非常に高かったです。

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さて、ファンが会場に入ってまず何をするか。

それはもちろん物販の列に並ぶことですね。

僕も毎年Tシャツやら何やらを購入しておりますが、何と今年は提灯が再商品化されていました!(令和ならぬ霊和バージョン!)

この提灯、10年前ぐらいに販売していたような記憶がありますが、いつの間にか消えていたグッズです。

昨年、スタッフが客席案内用に使用していたのを見つけまして、ぜひ売って欲しいと掛け合いましたが、当然ながら「無理ですw」と断られていた代物。

恐らくそんな声を拾ってもらえたのか、再び商品化に漕ぎ着けてくれました。

(制作会社の方へ、この場を借りて感謝申し上げます。)

もちろん、ワタクシも見つけた瞬間、即買いしたところでございます。ハイ。

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開場してからの客席は9割程度の入り。

とはいえ、ほぼほぼ埋まっておりまして、一番奥の席が空いているぐらい。

何れにせよ、人口6万人の宮崎県日向市での公演ですからね。

誤解を恐れずに言えば、九州の片田舎でここまで客席を埋められたというのは、企画会社のプロモーションも相当に頑張ったんでしょう。

客層もファミリーからカップルまで、幅広い年齢層であることは怪談ナイトの特徴でもあります。

近所のお爺ちゃんが子供たちに怖い話を聞かせてくれる、そんなアットーホームで土着的な雰囲気すら漂ってきます。

つくづく、稲川淳二という人間は不思議な魅力の持ち主でございます。

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やがて、定刻に幕が上がり、淳二がいつものように笑顔で登場。

大きく手を振って、何やら上機嫌なヴァイブスがこちらまで伝わってきます。

開口一番「ただいま!」に「おかえりー!」で応える観客。

ん?この一体感、、、?

地方の公演ではあまり感じられない雰囲気です。

気を良くしたのか、淳二も「今日が最高の公演になりますよ!」と断言。

理由として全国ツアーのファイナル的な意味合いがあるから、と仰っていました。

そうです、千秋楽です。

千秋楽なんですよ、今日は。

これについては淳二も語っていましたが、ツアー開始当初は演目も流動的で、試行錯誤が続くようです。

それがツアー中盤ぐらいから「型」にハマって、照明や音楽など各種舞台装置との連携も上手くなっていく、と。

要するに、回を重ねるたびにクオリティが高くなるって話ですね。

歌舞伎や演劇などの世界でもよくある話で、公演の集大成とは千秋楽を指すわけです。

稲川淳二Presents 生き人形 [VHS]

稲川淳二Presents 生き人形 [VHS]

 

実際のところ、結論から申し上げますと、史上最高レベルの怪談ナイトだったように思います。

(あくまでも、僕的には。)

各種舞台装置との連携も素晴らしく、特に音響効果のタイミングがドンピシャでびっくりしました。

DJという職業柄、あのタイミングはぶっつけ本番では到底無理な芸当です。

それに呼応するかのようなライティングも、抜群に良かったですね。 

そして何よりも、、、淳二の声の張り。

これはもう、言葉にならないですよ。

まるで心霊に憑依されたかのような演技力、そして擬音の成せる凄まじい臨場感。

長年に渡って、映像やライブで稲川怪談を楽しんでおりますが、ここまで絶好調だった回はなかなかありません。

稲川節、ここに極まれり!

あっという間の2時間でした。

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ちなみに演目は5つほどで、相変わらず戦争の話を必ず盛り込んできます。

もちろん、全体的には怖い話が多いですよ。

しかし、怖いというよりは不思議な話、そして悲しくて切ない話などが印象に残るような構成です。

テレビなどでは怖い話をスポット的に披露していますが、稲川怪談の本質は人間の喜怒哀楽を心霊というフィルターを通して抉り出していくものです。

今般の演目はどれも機知に富み、話芸の達人として、その片鱗を見せつけた格好です。

例えば今回が初見のお客さんについては、さぞや驚かれたのではないでしょうか。

怪談という恐ろしいイメージが、ふと温もりのある人間の営みに変わるような、ある意味でカルチャーショック的な衝撃があったとしても不思議ではありません。

これについては、様々な「死」を知っている淳二だからこそ「生」を相対化して表現出来ているのだと思います。

つまり、淳二は心霊を語っているのではなく、人間の生き様を語っているということになりますね。

彼が師匠と呼ばれて慕われている所以は、この辺にもあると思います。

稲川淳二の恐いほど人の心をつかむ話し方 心に残る、響く、愛されるための38の方法

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余談ですが、淳二の喋るスピードも若い頃よりずっと遅くなっておりますので、初見の方にも大変聞き取りやすかったのではないかと思われます。

(一部では睡眠に効くGABA物質が大量に放出されているのではないかという噂もあるほどです。)

 

さらに、怪談ナイトの名物として、終盤には心霊写真コーナーがあり、今回も大いに盛り上がりました。

これは初見のお客さんが多ければ多いほど、盛り上がります。

(毎年、同じネタがありますので。)

しかし、ですよ。

これもマイク片手に淳二のトークと写真のみで、お客さんを怖がらせたり、笑わせたりするのって、単純に凄いことだと思いませんか?

ただただ、その「言葉」というツールだけで、自己を表現しているわけです。

僕はここに「言葉使い」としての淳二の底力みたいなものを強く感じています。

話芸に限らず、文筆にしても、言葉の表現力とは知性と経験の蓄積であります。

淳二も高齢者に属する72歳とはいえ、その表現力には依然として伸びしろがあることをこの「千秋楽公演」で証明してくれました。

ファンとしてこれほど嬉しいことはありません。

 

それはつまり、最新の淳二が、最高の淳二であるという事実。

 

未見の方には、ぜひ会場に足を運んでこの空間を体験してみて欲しいですね。

心霊のみならず、言葉や物語が好きな人にはグっとくるものがあると思います。

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