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【映画】パーフェクト・ピクサー「リメンバー・ミー」【ネタバレ感想】

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リメンバー・ミー」(2017年)★★★★★

近年のディズニー・ピクサーの作品でトップクラスの出来ではないでしょうか。

メキシコっていう舞台設定も新鮮でしたし、死者の国の美しい描写もお見事。

脚本も起承転結がしっかりと守られて、同じ家族愛を描いた「メリダとおそろしの森」とは一体何だったのか、、、っていうぐらいにはエモーショナルで感動的な作品でした。

 

おそらく、人によっては泣いちゃう系ですよね。

泣ける映画だから人に勧める、、、ってことはしませんが、それにしても主人公のミゲルが本当に純粋で、そして誰に対しても優しい性格だからこそ、大人の胸にも去来するものがあると思います。

特に全体を通して音楽の素晴らしさを押し出していたのは良かったですよね。

この押し出し感は「SING/シング」に匹敵するものがありました。

僕も事あるごとにブログやSNSを使って発信していますが、例えばDJやイベントをやっていく中で、最も必要なことは「人に優しく」することです。

なぜなら、DJもオーガナイザーも人気商売が根底にあるから。

人から嫌われてしまっては、いくら才能があっても生きていくのは到底無理な世界です。

以前、Arminも同じようなことを言っていたので引用しておきます。

「自分の子供にも教えてることなんだけど、なによりも人に親切でいること。素直でやさしくてオープンでいれば学歴なくても先にいけるよ。良い経歴を持つのと同じくらい重要なことだと思うんだ。職歴も資格もあれば将来はあるかもしれないけど、優しいひとでいればそれも同じくらい将来を切り開くきっかけとなるよ。ルックスとか関係ない。人にやさしくすれば良いんだ。人に与えたものは必ず自分に返ってくるからね。」by Armin 

さて、本作は家族愛がテーマなんですけども、監督はリー・アンクリッチという方で、過去に「トイ・ストーリー」や「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」「カーズ」など、ピクサーの主要なタイトルで編集を務めてきた人なんですね。

家族愛にフォーカスした「トイ・ストーリー3」では監督となり、作品自体も大絶賛されたことは記憶にも新しいところです。

この辺は創始者であるジョン・ラセターとはまた違った趣向というか、人間ドラマに比重を置いた作風に、淀みない才能を感じます。

きっとこの監督も心優しい方なんでしょう。

ところで本作の原題は「Coco」ということで、主人公の曾祖母の名前となっています。

家族愛や先祖への畏敬の念を込めたタイトルかと思いますが、こうした普遍的なテーマを改めて映像化するっていうのは一筋縄ではいかないと思うんですよね。

日本ではすでに「千と千尋の神隠し」(2001年公開)もあったわけで、様々なアニメや映画で「あの世」が描写されてきました。

 

本作はその舞台をメキシコにすることで、語り尽くされた死者の世界っていうのがどこか新鮮で、日本人の僕としても異文化を覗き見しているような、エキゾチックな面白さがあったのも事実です。

加えて、マリアッチ*1な音楽を全編にちりばめるという演出。

この世界観、完璧じゃないですか?

リメンバー・ミー オリジナル・サウンドトラック

リメンバー・ミー オリジナル・サウンドトラック

 

少なくとも、ここ10年のピクサー作品の中では、ずば抜けて突出した出来であることは間違いないです。

むしろ、人によっては「トイ・ストーリー3」より好きという方が出てきてもおかしくない。

それぐらいバランスの良い作品ですし、1つ1つの描写に全く無駄がありませんでした。

極めて濃密な105分です。

僕も素直に映画館で観るべきでした。反省。

*1:メキシコ由来の音楽を演奏する楽団。日本ではメキシコ音楽そのものを指す場合も多い。