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【映画】フレディの孤独と葛藤を描いた、全音楽ファン必見の映画「ボヘミアン・ラプソディ」【ネタバレ感想】

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ボヘミアン・ラプソディ」(2018年)★★★★★

はい、音楽好きを自認する方は全員、今すぐ観なきゃダメなやつ、出ました。

Queenのことはよく知らない?

フレディはともかく、ブライアン・メイって、誰?

そういう人にこそ観て欲しい「音楽映画」ではないかと思います。

まず、僕が音楽映画、特にバンドやアーティストにフォーカスした作品において、最も興味惹かれる部分は「音楽が生まれる瞬間」です。

本作ではQueenの楽曲が生まれた背景を違和感なく、そしてシネマティックに演出することで、音楽が持つ普遍的なパワーを見事に映像表現していたように思います。

近年では「シング・ストリート 未来へのうた」(2016年公開)における「音楽が生まれる瞬間」も極上のシークエンスでしたが、両作品ともに、バンドサウンドの素晴らしさ如実に伝えていたところはとても好感を持ちました。

(小ネタですが「シング・ストリート 未来へのうた」のヒロイン役ルーシー・ボイントンがフレディの恋人役として出演しています。)

(間違いなく、音楽映画史に残るシング・ストリートの名場面。)

同時に、本作「ボヘミアン・ラプソディ」はフレディ・マーキュリーの孤独と葛藤を炙り出した映画でもあります。

華やかな舞台とは裏腹に、バンドメンバー及びレーベルマネージャーとの複雑な人間模様がQueenの音楽とともに淡々と綴られているわけです。

このとき、フレディをはじめとする俳優陣も控えめで自然な演技に徹しており、エンタメ映画にありがちな過剰な演出もほとんど見当たりません。

結果的にそれが等身大のQueenとして、序盤からある種の親近感を持って観ることが出来ました。

終盤のクライマックスがカタルシスの塊となって、感動が怒涛のように押し寄せて来たのも、恐らくそうしたシンプルなドラマ構成に徹した内容だったからだと思いますね。

(映画のクライマックスとなった実際のLive映像。劇中での再現度は非常に高いです。)

それにしても、、、終盤の21分は確かに感動的でした。

台詞はほとんどなく、Liveシーンのみで構成しているにも関わらず、フレディの鬼気迫るステージングと歌声により、楽曲の歌詞がザクザクと突き刺さってきます。

加えて、Queenが屈指のメロディメーカーであったことも、改めて思い知らされました。

劇中、フレディが自らを「パフォーマー」と位置付けていたように、ステージ上での彼らはまさに「無敵」の存在であり、その驚異的な映像再現性も含めて、本当に素晴らしかったです。

(号泣とはいかないまでも、僕自身、頬を伝わるものは一筋ではなかったです。)

さて、この終盤の構成は「セッション」(2014年公開)を彷彿とさせるものがありましたが、音楽映画としてはとても効果的な手法だと思います。

特にQueenはライブに定評のあったバンドですから、過去を知っている方は本作で追体験が出来ますし、新規さんであればそのバンドサウンドのパワーにさぞかし圧倒されることでしょう。

従いまして、冒頭で述べたように、本作「ボヘミアン・ラプソディ」は全ての音楽ファンが観るべき映像作品でして、決してQueenファンだけのものではないということを、改めて強く申し上げたいと思います。

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例えば、これまでに音楽によって心を動かされた経験のある方、あるいは人生の過程で音楽に助けられたり、普段からライブやクラブに行くなどして音楽が身近にある方など、心当たりのある方は今すぐ劇場に足を運んでください。

劇場という空間及び音響で鑑賞することが、本作を楽しむ最良の選択だからです。

(ちなみに僕はドルビーアトモス及びプレミアムシートで鑑賞してきました。)

ボヘミアン・ラプソディ

ボヘミアン・ラプソディ

 

最後に、自分語りになっちゃいますが、僕がQueenを知ったきっかけの1つは「ウェインズ・ワールド」(1992年公開)っていうコメディ映画でした。

代表曲「Bohemian Rhapsody」がオープニングに使われておりまして、メタルキッズだった当時の僕はその奇妙な構成、アレンジに衝撃を受けたことを憶えています。

(フレディは1991年に亡くなりましたから、完全に後追いですね。)

世代的にもベストアルバムから入った人間ですし、正直言ってさほど彼らに詳しくもありません。

そんな僕でさえ、ここまで心に響く作品だったわけですから、素直にお勧めしたくなるのも仕方ないです。

とにかく、リアルタイム世代の方は本当に号泣注意です。。。

(以下、ネタバレ感想となりますので、未見の方はここまでにしておいてください。)

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そしてここからがホントのネタバレ感想。

本作「ボヘミアン・ラプソディ」はドキュメンタリー映画ではなく、関係者の許諾を得て当時のエピソードを脚色し、それをシネマティックに構成したものです。

そのため、シナリオの構成、要するに脚本的な部分ではその評価が割れる可能性もあります。

例えば、僕が泣かされたシーンというのも全てQueenの音楽が流れていたからだと思いますし、ただそれは音楽映画として最も大切な要素であることに異論はありません。

特に、フレディを語る上で欠かせないのがセクシャルマイノリティの話、つまりゲイに関連するエピソードですが、中盤以降、そのネタが多いのも本作の特徴です。

ロックスターにありがちな乱痴気騒ぎなども描写されていますが、実際はもっと下世話で滅茶苦茶だったのではないかと想像します。

しかし、ある意味でここが本作のQueenにあふれた部分でもあり、美化という言葉は適切ではないかもしれませんが、各エピソードをスタイリッシュに映像化することで、フレディの孤独と葛藤というテーマにしっかりとピントが合うように設計されているんですね。

終盤のLIVE AID再現シーンでそのままエンドロールに突っ込む手法も、良い意味でズルいというか、確信犯的シークエンスの1つです。

結果的に、Queenへの親近感を全観客にもたらすことに成功していますから、それが正義の作品と考えますと、この脚本でアカデミー賞を狙うというのも少し風呂敷を広げすぎかなという気がしないでもないです。

(個人的に、父親との和解シーンは少し釈然としなかったです。)

繰り返しますが、本作はフレディ・マーキュリーの伝記映画であり、史実に忠実なドラマというよりは、脚色の目立つ大河ドラマという印象です。

少なくとも、僕には大満足な作品でした。

ゲスト出演したマイク・マイヤーズアダム・ランバートなどの小ネタもあって非常に楽しめましたし、終盤の21分には本当に度肝を抜かされました。 

また彼らの音楽を聴きたいと思える、極めて良質な「音楽映画」だと思います。ハイ。

(2018年11月28日、2回目を再びドルビーアトモスで鑑賞。1回目の時より泣けてしまうというハプニング発生。)

ジュエルズ

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