【購入レポ】Nikon Z 6を半年使ってみた感想【フルサイズ】
Nikon「Z 6」
今から1年半前に、Canonの「EOS 5D Mark IV」でフルサイズ機デビューを飾りまして、その顛末やレビューは以下の通り、記事にしています。
カメラとしての機能性は申し分なく、扱いやすい操作性にも驚きました。
レンズラインナップも豊富でしたから、その拡張性にも満足していました。
ただ、機動性という点で不満がくすぶっていたのは事実です。
単刀直入に言って、デカくて重いんですよね。。。
(幅x高さx奥行き:150.7x116.4x75.9 mm、重量:800 g)
昔から山岳写真を専門としているので「レンズを付ければ1.5kg超え」というのがなかなかの苦行でした。
特に登山では三脚や交換レンズの重量も加算されますので、取り回し含め、次第に軽量化を考え始めるようになってしまい、、、そこで登場したのが、ミラーレス&フルサイズという、NikonのZシリーズでした。
ちなみに、このジャンルはSonyが切り開いた市場ですね。
そしてCanonも時を同じくしてフルサイズのミラーレス機を発売しましたが、店頭で実機を触った時の質感は、、、ごめんなさい、Zの方が良かったです。
例えば、EVFの見え方にしても、シャッター音にしても、スペック表だけでは見えてこない部分の完成度が非常に高いんですよね。
流石にその場で即決はしませんでしたが、その後無事にZ 6の方を購入し、大満足して現在に至りますので、この機会に感想を残しておきたいと思います。
以下、目次です。
購入動機
すでに上でも述べておりますように、ミラーレスへの移行はシステムの軽量化が目的でした。
EVFによる露出の失敗写真を少なくするとか、ミラーレスならではのメリットもありますが、とにかく僕の場合は軽量化、小型化が最大の目的。
その点で、Sonyのαシリーズはもちろん、OlympusのOM-DやFujifilmのX-T3なども検討したぐらいです。
元々、メーカーにこだわりはないので、どれも素晴らしい機種だと思います。
しかし実機を触ると、Z 6が最も僕の手に馴染むんですよね。
サイズ感というよりも、質感と言うのが適切でしょうか。
どうにも、この機種に関してはスペック表だけでは分からない、目に見えない部分を訴求している感じがあります。
これでは売り方に苦労するなあと、思わずNikonの営業マン視点に立ってしまうぐらい、触ってみないと分からないカメラだと思います。
外観
さて、それでは外観から見ていきましょう。
Z 6は上位機種のZ 7と共通のボディとなっています。
(幅x高さx奥行き:134x100.5x67.5 mm、重量:585 g)
EOS 5D Mark IVと比べると、重さはたった約200 gの差ですが、サイズがコンパクトなので思った以上に小型軽量を実感します。
実用金属で最も軽量なマグネシウム合金を使い、各所にシーリングを施した防塵防滴ボディですから、とても堅牢な雰囲気ですね。
また、操作ダイヤル、各種ボタンの配置も非常にシンプルな設計になっていますから、ある程度のデジイチ経験者でしたら説明書なしでも扱えるはず。
ただ、ボディ正面側のFnボタンは位置的に使いにくいので、ここは要改善ではないかと僕は思います。(カスタムで機能を割り当てられますが、ほぼ使っていません。)
サブ液晶も絶妙なサイズ、そしてシンプル・イズ・ベストな情報量です。
ちょっと残念だったのは、背面の液晶がバリアングルではなく、チルトだったこと。
これは賛否分かれるところだと思いますが、ローアングルを多用する場面でバリアングルの可動域はとても便利です。
しかし、チルトにはチルトの良さというか、ワンタッチで操作出来る手軽さというものがありますので、この辺は一長一短なのかもしれません。
(それでもZシリーズのチルトは可動域が狭いような気がします。)
さらに気になる点をもうひとつ。
僕のZ 6は半年経ってもまだ大丈夫ですが、グリップの仕方によっては、ボディの表面を爪で傷付けてしまう場合があるようです。
これについては、店頭でのデモ機でも確認しましたので、画像を掲載しておきます。
ご覧の通り、表面のラバーが剥がれているのがお分かりかと思います。
この現象、現時点では初期不良という扱いではない模様ですので、なるべくグリップを深く握らず、爪を立てないように気を付けた方が良いと思います。
恐らくこの辺は次期型で改善されるだろうと期待しております。
(未確認ですが、現在は対策済みとなっている可能性もあります。)
画質
画質については、これはもう、文句なしです。
画素数としては、上位機種のZ 7に負けてしまいますが、フルサイズ特有の高品質な解像度は十分に味わえます。
(僕が撮影した作例をいくつか紹介します。)
フルサイズの特徴として、奥行きまでキリっとした解像感とボケ量の多さがありますが、Z 6はその点でも素晴らしい絵作りをしてくれます。
僕は風景専門でビビッドな絵作りが好きなので、Zシリーズの解像番長な立ち位置は気に入っていますし、メーカーが施したホワイトバランスの設定にも満足しています。
ただ、カメラ側の現像処理において、シャープネスが少し強過ぎる気がしているので、現像時のレタッチでこちらからシャープネスを強めることはしていません。
良くも悪くも、周辺までしっかりと解像してくれますから、パンフォーカス好きには強くお勧めする次第です。
操作性
すでに上でも述べていますが、スチル撮影の操作性において、特段の不満はありません。
前面のFnボタン以外は概ね良好な操作体系だと思います。
特に背面に配置されたiメニューボタンは便利です。
これはファインダーを覗いた状態でも操作出来るようになっていますから、即応性が要求される山頂での撮影時などにおいて、撮影テンポが乱されないのが良いですね。
もちろん、これらの項目は自由にカスタマイズ出来るようになっているので、風景専門やポートレート専門、又は鉄道写真や航空写真など、それぞれの利用シーンに合わせてセッティング出来るのは頼もしいところです。
僕は三脚を使う場面が多いので、手振れ補正のオンオフや、レリーズ関連、それからストロボなどの設定項目はiメニューに必須となっています。
逆に、wifiやBluetoothの機能は全く使っていませんね。。。
(現像はLightroomで時間をかける派なので、撮影中にカメラから直接スマホに飛ばすことがありません。)
ちなみに、RAWのサイズは12ビットか14ビットを選択可能。
しかもロスレス圧縮での保存が可能です。
徹底的に画質の劣化を防ぐという意味でも、これは地味に嬉しいポイントではないかと思います。
バッテリー
ミラーレス機の最大の弱点とは、バッテリー消耗の早さだと思います。
このZシリーズについても、これまでのレフ機に比べると電池消耗は早いです。
でも、僕の使い方だと1日1個のバッテリーで事足りるパターンが多い。
撮影枚数にもよりますが、これは人それぞれの使い方にもよると思います。
どちらにせよ、予備バッテリーは必須なので、僕もバッグに常備しています。
(余計なお世話ですが、バッテリーはなるべく純正品を使いましょう。)
携帯性
携帯性においては、何と比べるか、という点で評価の難しい項目です。
少なくとも、前機種のEOS 5D Mark IVよりはずっと軽くて取り回しが良いです。
ただ、APS-C機からのステップアップですと、それほど小型軽量を実感することはないのかもしれません。
ちなみに、ストロボを装着するとこんな感じ。
僕はSB-700を使っておりまして、見た目と重量のバランスも良いです。
それから、Zシリーズ用のバッテリーグリップが未だに発売されていません。
もしかすると、開発側が小型軽量をイメージ戦略としているせいなのかも?
しかしバッテリー消耗の早さを考えると、、、今後の展開が気になります。
機能性
これまで、フルサイズなミラーレス機の市場はSonyの独壇場でしたが、2018年からCanonとNikon、そしてPanasonicも参入して、機能性の拡充と強化は各メーカーの必須項目となっています。
特に、Sonyの瞳AFと呼ばれる機能は唯一無二な存在感を放っていましたが、ここにきてNikonもファームアップデートで瞳AFに対応してきました。
そもそも、発売当初から精度の高い顔認識AFを搭載していたので、風景専門の僕なんかは全く不満はなかったのですが、今般の瞳AFへの対応でようやくSonyと同じ土俵に立てたような、そんな雰囲気さえ漂っています。
(というか、ファームアップデートで対応って地味に凄くないですか?僕はかなりびっくりしちゃったんですけど。。。)
加えて、ボディ内手振れ補正(5軸)にも対応しています。
僕はPentaxのAPS-C機でデジイチに入門しましたので、手振れ補正の重要性は特に理解しているつもりです。
一方、CanonのEOS Rはボディ内手振れ補正を搭載していなかったこともあり、個人的には印象があまり良くないです。
確かに小型化や省電力設計を考えれば搭載を見送る判断もやむを得ないかと思いますが、ボディ内手振れ補正は間違いなくスタンダードになっていく機能ではないでしょうか。
(長い間、ボディ内手振れ補正の搭載を見送っていたFujifilmが、X-H1で初搭載したことは時代の変化を象徴させるものでした。)
Canon ミラーレス一眼 EOS R BODY 約135.8 x 98.3 x 84.4mm ブラック
- 出版社/メーカー: キヤノン
- 発売日: 2018/12/07
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それと、動体への撮影ですが、Z 6は約5.5コマ/秒・最大約12コマ/秒の高速連続撮影が可能です。
これは上位機種のZ 7よりも高いスペックになりますので、鉄道など動体を撮影する方におきましては、Z 6にするか、Z 7にするか、大変悩ましいところではないかと思います。
とはいえ、本気の動体撮影ですと、今はまだD500の圧勝であることは否定しません。
(僕自身、動体メインの撮影なら、間違いなくD500を使います。)
最後に、機能性としての不満と言えば、やはりカードスロットの問題でしょうか。
プロ仕様と呼ばれるデジイチには、ダブルカードスロットが常識になりつつあります。
そうした中で、今般のZ機種はXQDメモリーカード1枚のみ、というシングル仕様です。
恐らく、小型軽量設計を追い込んだ結果、苦渋の決断とも読み取れる部分ですが、僕もダブルカードスロットの安心感は前機種のCanonで経験済み。
出来ればSDカードスロットも配置して欲しかった、というのが本音です。
というのも、XQDはRAW保存、SDはJpeg保存、という使い分けが便利なんですよね。
この辺は製品発表時にも大きな話題となりましたし、次期型で改善される可能性もあると思います。
(ちなみに、XQDカードにおきましては、クラッシュなど不具合は起きていません。個人的にはSDよりも信頼性が高いと感じています。)
液晶
デジタルカメラの進化として、第一にセンサーが挙げられますが、特に分かりやすいのは液晶の品質です。
Z 6の場合、チルト式3.2型TFT液晶モニターを搭載しています。
もちろん、タッチパネルにも対応していますし、反応も良好です。
それよりも出来が良いと思ったのは、電子ビューファインダー、つまりEVFですね。
これはもう、ぜひ実機を確認して頂きたいのですが、僕が購入を検討した2018年の冬の時点では、Zシリーズが最良のEVFを搭載しておりました。
これは断言しちゃいます。
OVF(光学ファインダー)ばかり使ってきた人間でも、このEVFなら乗り換えてみたいと思わせるほど、説得力のある品質です。
カタログには約369万ドットの0.5型 Quad-VGA OLEDと書いてありますが、この辺は実際に覗いてみないと分かりませんので、ぜひ、他のライバル機種と見比べて欲しいと思います。
Kenko 液晶保護フィルム 液晶プロテクター Nikon Z7/Z6用 KLP-NZ7
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耐久性
昔から防塵防滴には定評のあるNikonですから、耐久性については安心しております。
僕は冬山での撮影も行いますので、来シーズンが楽しみですね。
氷点下など低温時の動作に何か問題があれば、こちらの記事に追記したいと思います。
(低温時は本体よりもバッテリー消耗の方が問題となりますが。)
あと、冒頭でも言及した、本体表面に敷かれたラバーの耐久性。
これについては、グリップ時に爪を立てないようにするとか、ある程度ユーザー側で配慮して使っていくしかないのかな、と思います。
例えば、Sonyのα7などはグリップ形状を浅くして、さらに爪が当たる部分はラバー加工せずに、破損を防いでいる設計のようにも見えます。
その分、本体のデザインや質感は若干損なわれてしまう気もしますが、どちらが良いか悪いかではなく、それぞれに合った使い方(握り方?)をユーザーが模索した方が良いのかもしれませんね。
(ちなみに剥がれたラバーについては、Nikonで有償修理対応している模様。)
ソニー SONY ミラーレス一眼 α7 III ズームレンズキット FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS ILCE-7M3K
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総評・まとめ
まだまだ言及していない部分も多いですが、とにかくこのNikon Z 6に関しては、挙げたデメリット部分を差し引いても、非常に満足度が高いです。
高感度ノイズも抑えられていますから、僕のように風景専門で撮影している方にとっては、頼もしいミラーレスと言えます。
ただ、レンズラインナップに関しては、まだまだ始まったばかりのシリーズですから、現時点では相当に貧弱であることは否めません。
(以下、公式発表されている今後のレンズロードマップです。)
個人的には、マクロレンズの発売が全く予定されていないことが気になります。
(そのため、サブ機としてNikon 1 J5を新しく導入することにしました。そちらのレビューも、いずれまた記事にしたいと思います。)
Nikon ミラーレス一眼 Nikon1 J5 ダブルレンズキット シルバー J5WLKSL
- 出版社/メーカー: ニコン
- 発売日: 2015/04/23
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足りないレンズはFXフォーマット系でカバーしてね、っていうメーカーの意向も透けて見えますけど、どうせならこの口径で新設計されたレンズを使いたいっていうのがZ所有者の本音だと思います。
しかし逆に言えば、Zレンズの沼はまだ浅いとも言えますので、検討中の方はお早目にこのボディをゲットして、Zレンズを集め始めるのも妙案かと思います。
(マウントアダプダーで広がるオールドレンズの世界も大変魅力的ですので、以下にリンクを貼っておきますね。)
あと、重ねて申し上げますが、動体への対応は確実にレフ機に劣ります。
NikonにはD500やD850など、今だ現役で素晴らしいレフ機がありますので、そちらをお使いの方はまだ様子を見るという選択肢も現実的かと思われます。
まとめますと、こんな感じです。
メリット
- 小型軽量
- 防塵防滴
- 手振れ補正
- 高画質
- 高感度
- 操作性
- 優れたEVF
- 瞳AF
- シャッターフィーリング
- 無音撮影
- キットレンズの完成度
デメリット
- シングルカードスロット
- 表面ラバーの耐久性
- 動体への対応
- 価格
- Zレンズの将来性
当の本人が大満足している機種ですので、デメリット部分はほとんど気になりません。
価格も発売当初より落ち着いてきました。
2019年6月6日現在、Z 6が219,400円、Z 7が331,657円です。(価格コムの最安値調べ)
(Z 7がお買い得に見えちゃいますね。発売当初は40万でしたから。。。)
そして何とこのタイミングで、再びキャッシュバックキャンペーンが始まりましたので、お知らせしておきます。
すでに購入を検討している方におきましては、そろそろボーナス時期でもありますし、チャンス到来ではないでしょうか?
余談
2019年6月現在、僕の装備は以下の通りです。
・Nikon Z 6
・NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
・NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
各レンズに関しては、それぞれの感想を別途記事に出来たらいいなと思います。
単刀直入に言って、どれも素晴らしいレンズですよ。
特にZ 24-70mm f/4に関しては、キットレンズの常識を変えたと言えるのではないでしょうか。
参考までに、各レンズの作例を掲載しておきます。
風景撮影におきましては、構図はもちろんですが、奥行きをどのように表現するか、そして色をどのように伝えるか、というのがある種の命題ではないかと思っています。
僕も本格的にデジイチを始めてから、今年で13年目に突入しましたが、常に「写実的でありながら、心象的な印象を与えること」にチャレンジしています。
その表現を可能にしてくれているのが、今はこのZ 6ということになりますね。
(完全に蛇足ですが、Z 6で撮影した僕の写真が以下の某コンテストに入賞したことも改めて報告しておきます。)
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Nikon ミラーレス一眼 ニコン Z7 24-70 レンズキット NIKKOR Z 24-70mm f/4S付属 Z7LK24-70
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作例として参考になるかどうか分かりませんが、気が向いたらチェックしてみてください。