【映画】人体解剖+ソリッド・シチュエーション・ホラー「ジェーン・ドウの解剖」【ネタバレ感想】
「ジェーン・ドウの解剖」(2016年)★★★★☆
原題は「The Autopsy of Jane Doe」ということで、邦題もそのまんまです。
登場人物少なめ、密室劇、そして控え目だけどがっつり恐い怪奇現象、という三拍子揃ったソリッド・シチュエーション・ホラーだと思います。
そこに人体解剖(検死)というスパイスがとても良い味を出してますね。
とはいえ、グロさはそこまでないです。
死体の造形レベルは極めて本物に近いと思いますが、カメラワークにも救われてます。
加えて、主役の親子が最初から好印象。
検死という特殊な仕事に対する真摯な姿勢というか、仲の良い親子としても描かれていたので、後半にかけて今般のトラブルに巻き込まれていく様子は不憫でなりませんでした。
そのトラブル(=ジェーン・ドウ)の謎を少しずつ解明していくあたり、ミステリー好きにも美味しい内容となっております。
従って「CUBE」や「SAW」が好きな人なら、ぜひどうぞって感じですね。
ただ、86分と短い映画ですが、個人的には少し間延びした印象を受けました。
恐らくこれは、ジェーン・ドウの謎がおよそ解明されずに迎えた結末にも起因しているのかもしれません。
もちろん、怖いのは怖いですよ。
けれども、怖さを上回る好奇心ってあると思うんです。
(実際、解剖の過程で事実が浮かび上がっていくシークエンスは本当に面白いです)
例えば、劇中で発生する怪奇現象がジェーン・ドウの仕業としてですよ、その動機はもちろん、ジェーン・ドウ自体の謎が最後まで明かされませんからね。
元々が本当に魔女として拷問を受けたのか、それとも無実の女性が拷問を受けた結果、魔女となってしまったのか。
得てして、魔女狩りという言葉自体が人類の歴史の汚点でもあるわけで、僕は後者の疑いを持って鑑賞しましたが、果たして皆さんはいかがだったでしょうか。
まだまだ無名かと思いますが、本作を起点にして、ソリッド・シチュエーション・ホラーを極めて欲しいです。
とりあえず、謎が謎のままになっているので、本作の続編を作って頂けるとありがたいですね。
期待しましょう。