【TPS】Dead Space 3 レビュー(Xbox 360)
「Dead Space 3」★★★☆☆
2013年に発売されたシリーズ3作目。
ゴシックなサバイバル・ホラーからアクション・ホラーへと舵を切った「Dead Space 2」の世界観をそのまま踏襲し、ローリング回避などのアクション要素、そして武器作成やCoop搭載に注力した作品です。
正直申し上げて、シリーズで最も微妙な作品となります。
まずは参考までに、メタスコアとユーザースコアをご覧ください。
( http://www.metacritic.com/ 参照)
- Dead Space 1 : 89 / 8.7
- Dead Space 2 : 90 / 8.6
- Dead Space 3 : 78 / 6.4
念のため、海外市場での評価となりますが、本作に至ってはユーザースコアが6.4という、人気シリーズにしては驚異的な低評価です。
恐怖感が減退し、サバイバル・ホラーというテーマさえ薄れてきた2作目の存在もあって、この3作目はおよそユーザーの期待には応えられなかったとも言えますね。
(「Dead Space 2」の感想は以前の記事を参考にしてください)
気を取り直して、今回はXbox 360本体から過去のセーブデータを移行してリスタートしました。
(試しにゼロからスタートしてみたのですが、あまりに理不尽なゲームバランスにやる気を失いかけました。危ないです。)
後述しますが、本作はCoop前提の内容となっており、ソロで攻略する場合でも敵や回復アイテム等の数に変更がないという手抜き&鬼畜仕様です。
しかも、これまでは正面方向から敵が湧く場面が多かったのですが、本作ではいきなり背後から襲ってきたりします。
これはもう、恐怖というよりちょっとしたサプライズ。
結構な頻度でこの現象が起きるのでストレスになってしまうのですが、果たしてこのような「死にゲー的」ゲームバランスは、本シリーズで許されることなのでしょうか。甚だ疑問です。
(「ダークソウル」でお馴染みのフロムゲーでもあるまいし。)
さて、本題に入る前に、備忘録としてセーブデータ移行の話をしておきます。
今回、僕が購入したのはXbox One Xです。
以前使っていたのはXbox 360ですが、Xbox One Xでは本作のようなXbox 360のゲームを遊ぶことが出来ます。(下位互換対象の場合)
ゲハっぽくなるので比較はあまりやりたくないのですが、PS4の場合、PS3のDiscは動きません。
PS Nowというサービスを利用するか、新たにPS4用として発売されるリマスター版を購入するしかないわけです。(これが所謂リマスター商法)
つまり、Xbox 360のDisc(もしくはDL購入済み)さえ保有していれば問題ないのですが、それに合わせてセーブデータも移行出来る仕組みとなっています。
僕はこれが上手くいかなくて苦労しました。
恐らくその原因は、セーブデータ移行前に下位互換対象ソフトをXbox One Xで起動させて、新規セーブデータを作ってしまったから、だと思います。
なので、今回はその段取りを確認しておきます。
至ってシンプルですが、やることはこれだけです。
僕のように誤った順序で上手くいかなかった場合は、Xbox One Xの本体設定でXbox 360のローカルキャッシュのクリアをしてみてください。
恐らくこれで改善するかと思います。
では早速、ネタバレ感想に入ります。
今回の舞台はTau Volantisという極寒の惑星です。
上の画像をご覧の通り、ついに屋外マップが正式に登場しました。
1作目の舞台は石村という宇宙船内、2作目は土星のスペースコロニー内でした。
過去2作で屋内戦闘にマンネリの兆しがあっただけに、開発陣のチャレンジ精神は高く評価したいのですが、総じて屋外マップというものは逃げ場が多くなるため、プレイヤーの恐怖感は明らかに減退します。
そのため、本作では吹雪等のエフェクトを活用して、プレイヤーの視界を狭めるなど、苦肉の策が見られます。
また、その低い外気温によっては凍死の恐れもあることから、雰囲気的にはグッと「遊星からの物体X」に近付いたことは確かです。
あの映画からのインスパイアは開発陣も認めているところなので、何だかんだ言ってジョン・カーペンターは凄い、という結論になります。
そうしたチャレンジ精神の1つに挙げられるのでしょうか、本作ではついに人間との銃撃戦も各所で頻発します。
これまでのゾンビ型クリーチャー「ネクロモーフ」とは明らかに異なる戦闘を強いられるわけです。
そこで取り入れられたのが「ローリング回避アクション」と「カバーシステム」なのですが、これが著しく洗練さに欠けたものとなっており、本作の致命傷となっています。
さらに言えば、こうした動作は主人公アイザックに利点を与えるもので、要は敵よりも強くする調整を行ってしまったという事実。
ホラーにおいて、主人公が弱い存在であることは大前提ですよね。
特にゲームの場合、そこにRPG的な成長要素を組み込めるので、カタルシスという点でもその設定は理にかなっています。
もちろん、開発陣もそれは把握していたのでしょう、素早い動きのネクロモーフを登場させたり、1度に湧く敵の数を増やしたり、難易度調整に工夫も見られます。
しかしそれら全てはCoop前提仕様という杜撰な調整によって、「平凡なTPS作品」という烙印を押されかねない事態となっているのです。
「Halo」や「ギアーズ」以降、Coopの流れは当時の業界全体を覆っていたので仕方ありませんが、何はともあれ、敵対象に人間を登場させてしまったのは大きなミスでした。
もちろん、良い部分もたくさんあるのですが、シリーズのファンからすると、どうしても不満点が気になってしまいます。
以下、改めて不満点を挙げてみました。
- Coop前提のゲームバランス
- 分かりにくい武器アップグレード
- 見た目が変わるだけのスーツ
- 不自然なアクション要素(回避ローリング&カバーシステム)
- 感情移入しづらい物語
主にこの5点でしょうか。
シリーズ当初のコンセプトでもあったサバイバル・ホラーという看板を自らぶち壊したような、もはや「Dead Space」ではない何か、といった表現さえ許される雰囲気です。
(基本的に僕は褒める前提で記事を書きますが、本作はそれが難しいです。)
それでも他の平凡なTPS作品とは一線を画すクオリティであることは間違いありません。
Coopも経験済みですが、割り切ってしまえば楽しいです。
分かりにくい武器のカスタマイズも、慣れればどうってことはありません。
(システム画面のUIが雑なので、多少の時間はかかりますけどね。)
それから実績的にはあまりお勧めではないタイトルです。
オンライン系、特にCoopしないと入れないエリアとかあるので要注意です。
僕は半分ほど解除出来たのでこれで良しとします。(550/1250)
最後に、当時の開発者(クリエイティブ・ディレクター:Ben Wanat氏)のインタビューを引用しながら、本記事を終えたいと思います。
(以下、ゲーム情報サイト「Choke Point」より引用)
・個人的には、例えばホラー映画には抑揚がないと駄目なんだ。次に大きな事件が起きる前に、一息つける瞬間が欲しいんだよ。僅かでも自分のペースを取り戻したと感じることのできる瞬間が欲しい。たとえその直後に全てを失うことになってもね。その方が効果的だと思うんだ。
・前2作では、大抵のことがプレーヤーの前面で起きる。3作目ではそこが難しかった。
・広々とした場所をどうすれば怖くできるかという点も考えた。そして導き出した答えが雪、天候、そして吹雪だ。
・敵のデザインを考える時は、過去作の胸糞悪いデザインをどうすれば超えられるか?とは考えずに、どうすれば過去作とは違った影響をプレーヤーにもたらすことができるかを考えるんだ。ゲームをクリアした後にも恐怖が残るような、プレーヤーの心に傷を残すようなデザインをね。
・2作目は好評だったが、ファンからのフィードバックにはMarkerの正体や目的を知りたいというものが多かったからね。3作目では具体的な答えを提示することが重要だと感じたし、これまではぼやかしてきた部分を明確にすべきだと思ったんだ。
・誰かがあれを作り、ブラックリスト扱いの惑星に埋められ、その惑星は採掘はもちろん、近づくことも許されなかった。だから、一体誰が何故あれをあそこに置き、何故惑星は立ち入り禁止になったのか、自分なりに答えを出してもらうしかないんだ。
開発者の思惑が見事に外れたような気がするのですが、いかがでしょうか。
Dead Space 3 (輸入版:北米) - Xbox360
- アーティスト: Xbox 360
- 出版社/メーカー: Electronic Arts(World)
- 発売日: 2013/02/05
- メディア: Video Game
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そして、本シリーズのデベロッパー「Visceral Games」は2017年に閉鎖されました。
エレクトロニック・アーツ、Visceral Gamesスタジオを閉鎖―『Dead Space』シリーズなど開発 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト