【音楽評論】J-Popへの挑戦状を叩きつけた新生MONDO GROSSOの新譜が熱い
MONDO GROSSO「何度でも新しく生まれる」★★★★☆
大沢さんが新譜を発表。
何とモングロ名義では14年ぶりです。
びっくりしました。
で、最初に確認しておきます。
大沢さん、ここ数年はDJ/プロデューサー業が主軸だったので、誤解している方がいるかもしれませんが、大沢さんはバンド畑出身で生粋のベーシストなんです。
そういえば、Fatboy Slimで世界的にも有名なノーマン・クック先生も元々はベーシスト。
YOJI BIOMEHANIKAのYojiさんもベーシスト出身。(LAUGHIN' NOSE)
何だろうこの共通点?
ベーシストってDJに向いてるのかしら?
それはさておき、早速発表された新曲をチェックしていきましょう。
まずはじめに、この「惑星タントラ」を聴いてみてください。
いかがでしょうか。
モングロ健在を裏付けるような、静的でありながらも動的、今の時代性を機敏に反映した1曲だと思います。
月並みな言い方になりますが、ギターやベースといった生楽器音と、デジタルな打ち込み音とのバランスがとても素晴らしいです。
え?
ちょっとよく分からない?
では次にこの「ラビリンス」をどうぞ。
僕はもうイントロからゾクゾクしちゃいます。
何ですかこの世界観。
控えめに言って、最高です!
今回のアルバムを代表する1曲であることは、ほぼほぼ間違いないでしょう。
その引き算発想から生まれた抑制気味のアレンジは、昨今のEDM的な音楽性とはまさに対極。
ここでも生音(ピアノ)がデジタルでミニマルな世界観と上手く調和しているのがよく分かると思います。
え?!
まだピンと来ない?!
それではこの曲でどうでしょうか!
Birdをフューチャリングした「TIME」です。
最後まで聴いてもらえばお分かりかと思いますが、途中から異なるリズムパートを交錯させています。
違和感なく耳に飛び込んでくるので気付きにくいかもしれませんが、ポップミュージックという土俵においては、かなり実験的且つプログレッシブな曲構造と言えます。
僕はこの曲を聴いた時、大沢さんからの現代J-Popへの挑戦状だと確信しました。
それぐらい野心的な楽曲だと思います。
しかもこれ、本作のオープニングトラックでもありますから、大沢さんの意思が少しだけ透けて見えるような気もしますよね。
え?
やっぱりピンと来なかったですって?
...分かります。
それ、凄く分かります。
というのも、モングロって「BLZ」のような、アッパーなハウスチューンが代名詞的存在だったんですよね。
なので今回、少しどころか、凄く地味な印象に聴こえてしまうのも仕方ないかもです。
ただ、大沢さんとしてはあくまでもポップミュージックの土俵で勝負に出た作品です。
モングロファンからすると、多少の肩透かしを喰らったような気分を味わうかもしれませんが、2度3度ヘビロテしていくと、これがいかに上質なJ-Popであるかということに気付かされます。
以前から坂本美雨のような和製エレクトロニカが好きな方はもちろん、サカナクションやSuchmosなどを聴いてる若いリスナーの方にも、ぜひともチェックしてみて欲しい作品です。
では、最後にバンドマン、大沢さんならではのLive映像をご覧頂きましょう。
ベース、とても似合ってます。