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【書評】みうらじゅんから学ぶDJのセルフブランディング術「『ない仕事』の作り方」

「ない仕事」の作り方

みうらじゅん「『ない仕事』の作り方」★★★★★

「マイブーム」や「ゆるキャラ」など奇抜な発想で造語を量産し続けているイラストレーター、みうらじゅん氏のエッセイです。

すでに様々な書籍や企画モノDVDでもその才覚を如何なく発揮しておられる方ですが、この本ではその発想力の源について至極真面目に語っています。

例えば「親孝行プレイ」や「童貞ブーム」など、「重い言葉をポップにする」という思考は氏の逆説的な発想力の原点とも言えます。

確かに「休日出勤プレイ」とか「サビ残ブーム」とか声に出してみると、、、少し重さが取れたようなニュアンスは感じますよね。

また、ネガティブなものを肯定するために「片っ端からそれを集める」という行動をし、それで「自分を洗脳する」という具体的な戦法まで明らかにしています。

(例:いやげ物、とんまつりなど)

いやげ物 (ちくま文庫)

いやげ物 (ちくま文庫)

 
とんまつりJAPAN―日本全国とんまな祭りガイド (集英社文庫)

とんまつりJAPAN―日本全国とんまな祭りガイド (集英社文庫)

 

さらにこうした発想力で生まれたモノを、果たしてどのように世の中へ伝えていくか、というところがポイントになってきますが、これについてはわりと地道な努力をされていて、「一人電通」という言葉が本当に的を得ています。

DJの世界のみならず、こうしたセルフブランディング*1というのはアーティストにとっても永遠のテーマです。

中でも、特に共感した部分があります。

「私は仕事をする際、大人数に受けようという気持ちでは動いていません。『この雑誌の連載は、あの後輩が笑ってくれるように書こう。』『このイベントはいつも来てくれているあのファンにウケたい。』と、ほぼ近しい一人や二人に向けてやっています。」

まさにこれ、今の自分が実行していることでもあるんです。

例えばDJのブッキングがあった時、そこに来てくれる自分の友達の顔触れで選曲を考えたりすることは日常茶飯事です。

もちろん、ある程度イベントの性格や客層などは考慮しますが、具体的な展開内容はごく少数のお客さんを意識した設定にしてます。

先日のFULLMOON RAVE 2017やATOM TOKYOでのDJプレイもそうでした。

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FULLMOON RAVE 2017では最後にRank 1の「Airwave」という曲をプレイしましたが、これは遠くからわざわざ足を運んできてくれた友達に対する感謝を込めました。

そして彼がこの曲をとても好きだったことは前から分かっていました。

もちろん、自分にとっても思い入れのある大好きな曲ですが、そのとき彼がフロアにいなかったら恐らくプレイしなかったかもしれません。

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ATOM TOKYOでのDJについても、仲の良い友達が遊びに来てくれることは事前に分かっていましたので、その人が快く笑顔で楽しんでもらえるような、加えて週末の渋谷というTPOも考え、いつもよりはポップで軽快なスタイルで臨みました。

他にも、僕が気が向いた時にやっているインターネット上でのDJ配信も同じです。

NEODEAD | Showreel | Mixlr

その場で聴いてくれているメンバーによって選曲を変えています。

そしてそれが相手に刺さった時こそ、DJ冥利に尽きるというか、僕の淡い承認欲求も満たされるわけです。

これってもう、Win-Winですよね。

DJは音楽で会話するのが前提になりますが、こうした現場でのWin-Winなコミュニケーションを重ねることが最も大切なことだと思っています。

(ちなみに、お客さんのいる現場は「会話」、宅録で制作するDJ Mixは「独り言」と僕は捉えています。例えば、以下のDJ Mixは「トロピカルな独り言」。)

さて、話を本題に戻しますが、この本の後半ではみうらじゅん氏のセンスがいかに育まれてきたのか、その半生が描かれています。

ここで思うのは、センスとは知識の積み重ねであるということ。

しかもそれは一方向に留まらず、四方八方にアンテナを広げることに意味があるということです。

これはあるブロガーさんも言及しておりましたので、参考に貼り付けておきます。

gothedistance.hatenadiary.jp

DJの話ばかりで恐縮ですが、自分に選曲のセンスがないと思ったら、音楽以外の知識をもっと吸収するべきなんですよね。

僕が楽曲の制作やDJの選曲で行き詰った時は、決まって他ジャンルの音楽を聴いたり、読書や映画、それこそカメラを持って知らない土地を散策したり、気分転換という名の知識と発見を得る作業に没頭します。

それがどこまでフィードバックされているのかどうかは自分でもよく分からないのですが、飽きずに今も音楽に取り組んでいることを考えると、恐らく何かしらの好影響はあったんだろうと思います。

センスは知識からはじまる

センスは知識からはじまる

 

その他、肝心の「ない仕事」の作り方については、ネタバレを避けるためにもこちらでの言及は控えますが、最後に、本著で最も共感した部分を抜粋します。

「私は昔から『またやってる』ではなく『まだやってる』と人に言われるようになりたいと思ってきました。」

果たして、これは名言だと思います。

端的に言えば、何事も継続が大切、ということですね。

周りに何を言われようが、好きなことをやり続ける意志はずっと持ち続けようと思った次第です。

「ない仕事」の作り方

「ない仕事」の作り方

 

完全に余談ですが、たまにDJを引退するとかいうのを見ます。

でも、、、引退する必要はないでしょ?って正直思います。

DJは現場に出てお金を稼がなくても、趣味で一生続けられるものです。

そして音楽という「言葉」を使っている以上、それは人生において、きっと手放せないものですよ。

なので、僕も周りから「まだやってるのかよw」と思われるぐらい、一生続けていきたいと思います(笑

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ということで、僕がリスペクトしているDJは今も昔もRaja Ram(76歳)なのです。

ラジャ・ラム - Wikipedia

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TALES OF THE INEXPRESSIBLE

TALES OF THE INEXPRESSIBLE

 
The Godfather

The Godfather

 

*1:企業や組織に所属しない「個人」が、自らをメディア化し、自らの力でプロモーションすること。wikipediaより抜粋。