【音楽評論】日本が誇る奇跡の名盤「男 宇宙」を紹介する!
V.A.「男 宇宙」★★★★★
世の中には名盤と呼ばれる作品が数多く存在します。
しかし、コンピレーションの名盤となるとどうでしょうか。
今宵紹介する「男 宇宙」はコンピレーション(企画盤)としては傑作の部類、いや、神の領域に片足を突っ込んだ奇跡の名盤であります。
収録曲はどれも貴重なレア音源ばかり。
大山倍達の咆哮「息吹」に始まり、友川かずき、横山やすし、野坂昭如、松田優作、杉良太郎、小林旭、高倉健、萩原健一などなど、男指数MAXのギラギラした昭和の輩が集結しています。
しかしコレ、全部歌モノと思うでしょう?
ところがどっこい、長嶋茂雄の一本足打法に関するコメンタリーやアントニオ猪木のプロレス理念というかアブナイ独り言など、音楽に全く関係のない語り素材も随所に挟み込まれ、珍妙奇天烈な構成でありながら、コンセプチュアルな男風景が宇宙のように広がっているのです。
Sonyはよくこの企画を通したものだと今でも感心してしまいます。
馬場さんの「満州里小唄」なんて滅多に聴けるものではありません。
例えば安藤組組長の安藤昇、知ってる人いますか?
この機会にぜひ知ってください。
このように尋常ではない熱量が迸る作品ですが、特に挫けそうになった時など、僕はこのCDを聴きながらお酒を呑むのが好きです。
以下、収録曲一覧です。
- 大山倍達「息吹き」
- 友川かずき「生きてるって言ってみろ」
- 横山やすし「さよなら大三元」
- 楳図かずお「へび少女」
- 野坂昭如「ポー・ボーイ (デビュー・シングルバージョン) 」
- 長嶋茂雄「長嶋監督の見た一本足 (語り) 」
- 美輪明宏「昼メロ人生」
- 松田優作「銀次慕情」
- ジャイアント馬場「満州里小唄 」
- アントニオ猪木「アントニオ猪木の理念 (語り) 」
- 菅原文太「日本万歳音頭」
- 一節太郎「浪曲子守唄」
- 岡本太郎「梵鐘・歓喜 演奏~コメント (演奏と語り) 」
- 勝新太郎「俺と反省 ~四条の橋 (演奏と語り) 」
- 杉良太郎「君は人のために死ねるか」
- 安藤昇「男が死んで行く時に」
- 江夏豊「俺の詩」
- 由利徹「カックン・ルンバ」
- 小林旭「さすらい」
- 高倉健「各駅停車」
- 萩原健一「前略おふくろ」
- 村木賢吉「おやじの海」
- 遠藤賢司「夢よ叫べ」
ちなみに、この企画盤は音楽評論家の湯浅学氏が監修しております。
湯浅氏は「幻の名盤解放同盟」という活動もしており、商業的成功にめぐまれず廃盤となり消えていった個性的すぎる歌謡曲の紹介・復刻を手がけています。(wikipediaより抜粋。)
これはもう、大変意義のある活動だと僕は思います。
ぜひ、本作の続編となる企画を会議でゴリ押しして欲しいと願っています。
(CDは現在廃盤により中古価格高騰中につき、安価で見つけたら即買いです。)
- アーティスト: オムニバス,遠藤賢司,佐義達雄,丸山雅仁
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct
- 発売日: 2004/06/09
- メディア: CD
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「平等に聴く耳を持て。音楽に貴賎はない。同情も同調もいらぬ」by 幻の名盤解放同盟