NeO的Album of the Year 2014
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2014年にリリースされたアルバムの中で、特にお気に入りの20枚を選出。
(ちなみに、昨年の1位にはThe 1975のデビューアルバムを推したが、グラミー賞を獲ったのはDaft Punkだった。)
それではご覧頂こう。
10位:Awake / Tyco
10位はTycho。
前作「Dive」までは宅録職人としてのイメージが強かったが、本作からはバンド形態にシフト。
自ら掲げるメランコリックなチルウェイヴ路線がさらに明確となり、極上のエレクトロニカ作品となった。
私の大好物であるシューゲイザー的要素が薄まってしまったこと、そして前作の特徴でもあった打ち込み路線が後退してしまったことには相当な悔いが残るが、その分インディーロック然とした佇まいは好印象である。
これでVocalが入ればBon Iverのように世界的にブレイクすること間違いなし!?
9位:The Pier / くるり
9位はくるり。
ファンファン加入以降のバンド然としたくるりの姿勢はもっと評価されてもいいはず。
前作「坩堝の電圧」も素晴らしい出来だったが、本作もアンサンブルとして楽器の調和が見事だ。
「浜辺にて」「Liberty & Gravity」「Loveless」「There Is (Always Light)」など名曲揃いである。
8位:Absolute World / Anthem
8位はAnthem。
本作はAnthem黄金期を支えた森川之雄氏が復帰した作品としても意義深いものである。
ジャパニーズメタルの存在を決定付けた1988年発表の「Gypsy Ways」信奉者として、これほど嬉しいことはない。
内容もベテランのAnthemらしく、緩急つけた展開に泣きの旋律が絡む極上のジャパメタだ。
中でもバンドの勢いをそのまま絵に描いたような「Edge Of Time」は本作を代表する1曲だろう。
7位:World On Fire / Slash
7位はSlash。
ガンズ世代の私にとって、本作における骨太でストレートなR&Rはとても心地良いものである。
特に本作でのSlashは理路整然としたソングライティングを実現しており、それがまたシンプルで潔い。
Zakk Wyldeよりも素直で実直なSlash流レスポールサウンドも健在であり、そこに加わるVocalも違和感ゼロ。
近年まれにみるアメリカンハードロックの傑作だろう。
特に「Wicked Stone 」「30 Years to Life」「Avalon」「The Dissident」の出来は本当に素晴らしいから困る。
6位:Will / 安田レイ
6位は安田レイ。
元気ロケッツのVocalに抜擢されて以降、その歌唱力の高さは折り紙付きだった彼女にとって初ソロ作。
Q;indivi直系の極上のシンセポップに違和感のない日本語歌詞と絶妙なアコースティック感。
静かにビルドアップしていく「Let It Snow」のような曲がJ-Popとして認知されてきたのは大変喜ばしいことだ。
セルフカバーでもある「Heavenly Star」のアコースティックverの美しさは別格。
5位:Talking Is Hard / Walk the Moon
5位はWalk the Moon。
アメリカのカレッジ系ロック、いわゆるインディーロック系として登場した彼らだが、前作から2年、本作は確実な進化を遂げていることが如実に分かる作品となった。
悲しいかな、Foster The Peopleが没個性の波に飲み込まれ見事に失速していく中で、Walk the Moonは自らの得意技をブラッシュアップし、切れ味鋭い「踊れるロック」を体現。
しかし騒がしいだけではなく、「We Are The Kids」のような曲を書けるようになったことが今後の彼らにとって大きな強味になっていくと思う。
4位:Ghost Stories / Coldplay
4位はColdplay。
結成から17年目を迎え、そろそろネタ切れとともに失速してもおかしくないが、まだまだバンド自身に伸びしろがあることを世界に示した作品だ。
デビューアルバムから彼らを追いかけている自分としては、原点回帰の雰囲気漂う屈指の好盤でもある。
特にJonh Hopkinsと組んだ「Midnight」の出来が頭1つ抜けており、この曲だけでもアルバムを購入する価値があると思う。
Aviciiと組んだ「A Sky Full Of Stars」も素晴らしいポップソングだが、アルバム全体から見れば少し浮いてしまった印象があり、そこは残念だった。
しかしながら、彼らの勢いはまだまだ続くだろう。
(2014年5月20日にレビュー記事をup済み)
3位:Romanticism / Lillies and Remains
3位はLillies and Remains。
邦楽においてここまで興奮を覚えるアルバムは数年に1度くらいしかない。
その衝撃度からいってもThe VaccinesやThe 1975を超えるインパクトではないだろうか。
デビューから3作目となる本作は、わずか40分足らずの内容にも関わらず、各楽曲のクオリティが異様に高いのも特徴的。
これはSoft Balletの藤井氏がプロデュースしたことも少なからず要因であろう。
EBM系が大好物な私にとって「Go Back」「Like The Way We Were」「This City #2」「To The Left」などは100回聴いても飽きることがない。
2位:Outside the Universe / Widek
2位は上半期ベストアルバムに推したWidek。
全編ほぼギターインストの作品だが、他のDjent系と違ってシューゲイザー要素が色濃く、これにより宇宙的曼荼羅模様とも言うべき、非常に奥行きのある世界観が存分に楽しめる内容となった。
サウンドの品質はパーフェクトではないものの、インディーズ系ということを考慮すれば十分合格点にあると思う。
Widek自体、日本ではまだまだ無名に近い存在だが、このクオリティならいつ大化けしてもおかしくない。
むしろこの時代にあってシューゲイザーをこのように新たに解釈した偉業はもっと認められてもいいはず。
今後の活動に期待したい。
(2014年9月23日にレビュー記事をup済み)
1位:The Singularity (Phase I - Neohumanity) / Scar Symmetry
1位は文句なしのScar Symmetry!
もはや倦怠期に突入しているメロデス界において、本作は見事なまでにSF的な世界観を全面に押し出し、HR/HM特有のオーセンティックな様式美を高音質なサウンドクオリティで表現した大傑作である。
往年のQueenrycheやDream Theaterを彷彿とさせるような、コンセプチュアルでシネマティックという外観も素晴らしく、楽曲の内容も総じてアレンジメントが素晴らしく、10回、いや20回聴いても聴き飽きることがない。
特に「The Spiral Timeshift」におけるメロディラインの運び方、そして「Neuromancers」でのギターソロの構成などは、もし貴方がHR/HMファンを自認するなら決してスルーすべきではない楽曲だ。
少なくとも5年に1枚、聴く人によっては10年に1枚というレベルの作品である。
(2014年11月17日にレビュー記事をup済み)
来年も1枚でも多く良作に出会えることを切に願いたい。