【購入レポ】フジのX-Pro3は「写真」が撮れる名機だった件【高評価】
Fujifilm「X-Pro3」
2020年12月、前から気になっていたX-Pro3を購入しました。
これにより、レンズマウントも全てフジフィルムへ移行。
実のところ、マウント変更は3回目です。
順に並べると、Pentax→Canon→Nikon→Fujifilm。
残るメジャー級マウントとしてはSonyやPanasonicといった家電メーカーになりますね。
ちなみに過去の購入レポに関しては以下の記事にまとめています。
それでは今回も購入レポをだらだらと書いていきます。
カメラを使ってる歴がただ長いだけの素人の主観によるものですから、どうぞその旨ご了承くださいませ。
購入動機
ここ数年、CanonとNikonのフルサイズ機を使っていて、画質そのものに不満はありませんでした。
レンズによってはまるで広告のような写真も撮れましたし、実際に各種フォトコンテストでいくつか賞を頂いたところでもあります。
しかしながら、こうした広告のような綺麗な写真を、ユーザー側があまり苦労せずに撮影出来てしまっているところに、写真本来の面白味というか、撮影の難易度がかなり下がってきたなと感じていました。
もちろんそれは良いことなのですが、同時に、被写体への好奇心やチャレンジみたいな感情が失われつつあったのは事実です。
例えばポストカードのような写真って、それはもう周囲にたくさんあふれていて、SNSを開けばプロ顔負けの作品がズラリと並んでいますよね。
所謂「映えスポット」で同じような構図、同じような時間帯、そして同じような機材(フルサイズ)で撮影したような作品ばかりが目についてきて、ちょっとこれはどう解釈したら良いんだろうと、微かな疑問がこみ上げてきました。
「果たしてそれは、自分が本当に撮りたかった写真なのか?」
昨年はコロナの影響もあり、撮影が気軽に出来ない状況が続いたものですから、この辺の写真に対する価値観というか、考え方を見直す機会になりました。
つまり「映えスポット」にわざわざ行かなくても、自分の身の回りにはシャッターチャンスがあふれているんじゃないか、という原点回帰的な発想に着地するわけです。
長らく映えな風景にこだわってきましたが、そろそろ日常のスナップにも本腰を入れて取り組むべき、と次第に思うようになりました。
そうなりますと、自ずと手が伸びてしまうのはFujifilmのカメラ。
特にX-Proシリーズは以前から気になっていましたし、フジのレンズラインナップも魅力的でしたので、この際思い切ってマウントを移行してみました。
その結果は僕のインスタをご覧の通り、写真の面白さを再発見している日々であります。
最初に結論から申し上げますと、このカメラは写真が撮れる名機でした。
外観
それでは本機の外観から簡単に紹介していきます。
まず、カラーリングとして3種類がラインナップされています。
下の画像では、左からDRシルバー、ブラック、DRブラックの3つ。
このDRとは「デュラテクト」の略称で、時計メーカーのシチズンによる登録商標です。
簡単に言えばチタンを使っています。
チタンを使ったカメラというのはなかなか記憶にないのですが、カメラ本体の美観にもこだわるFujifilmらしい判断ですよね。
このデュラテクト、指紋がつきやすいっていうデメリットはありましたが、僕は色合いに惚れてしまい、思わずDRブラックを購入しました。
実際に手に持った質感は非常に良いです。
外気温に左右されるスチールやアルミとは少し違う気がしますね。
暖かみのある手触り、と言ったら少し語弊があるかも分かりませんが。
最初は気になっていた指紋の跡も、そのまま使い込んでエイジングしていくような、まるで革製品みたいな雰囲気を醸し出すようになってきました。
正直言ってこのDR、おすすめです。
迷っている方は、ぜひDRを選択して欲しいです。
何よりも所有欲が満たされるでしょう。
画質
ここ数年、僕はずっとフルサイズを使っていました。
今回APS-Cに戻る形となりまして、ある程度は画質がスポイルされることは覚悟していました。
当然ながら、広角の風景写真における画質については、フルサイズより数段落ちます。
これはもうセンサーサイズからして違いますから、当たり前ですね。
風景写真において、周辺部までスッキリとした解像度を求める方は、フルサイズ、もしくはFujifilmの中判カメラなどを狙うべきではないかと思います。
翻って、X-Pro3が活躍するのは言うまでもなく、スナップ撮影です。
むしろそこが主戦場であると、カメラそのものがアピールしています。
これ一体どういうことかと申しますと、このカメラは背面の液晶画面をあえて隠しているんですね。
こんなことは普通、あり得ません。
なぜなら、カメラという光学機器はテクノロジーの進化とともにあるわけですから、わざわざその利便性を削るなんてことは、もはや自殺行為にも近いじゃありませんか。
しかしそれをあえてやったのです、このカメラは。
これは前項の外観でもお伝えすべき点でしたね。
とにかく、デジカメに慣れた身体にとって、不便であることには違いありません。
要するに、撮影した写真をいちいちその場で確認するな、と主張しているカメラです。
恐らくこの背面液晶の仕様でX-Pro2から買い替えを控えているユーザーもたくさんいるんだろうな、と推測します。
けれども、僕はこの意匠判断、好意的に捉えています。
実際に使用してみますと、液晶画面を開かずとも、ファインダーを覗けばプレビュー出来ます。
確かに細部のピント確認までは厳しいですが、少なくとも構図や露出の確認は可能です。
むしろ僕はこの仕様のおかげで、撮影時の機動性が高くなったと実感しています。
それは間違いなく、液晶画面でのプレビュー確認動作が減ったからだと思いますね。
操作性
前項で述べた通り、液晶画面の取り扱いに関しては、慣れが必要です。
ただ、全体の操作性については、歴代X-Proユーザーなら迷うことなく使えるはず。
僕はデジイチに関しては初のフジなので、最初は躊躇しました。
それでもF値やISO感度など、ある程度デジカメの知識があればすぐに慣れるレベルかと思います。
各種ダイヤルもよく考えられて配置していますし、ピント合わせの際に活用するフォーカスレバーも絶妙な位置です。
そもそも、ここまでシンプルにボタンを配列したカメラってなかなか見当たらないのではないでしょうか。
シンプルさという、むしろそこがデメリットになり得る可能性も感じていますが、個人的には必要最低限といったところで、カスタム性含めて大きな不満はありません。
(露出補正のダイヤルはもう少し硬くてもいいかな、とかそういうレベルです。)
バッテリー
バッテリーの消耗は早い方だと感じています。
特にEVFを多用した場合は一層早く減りますので、予備バッテリーは必須。
僕はOVFがメインなので、1日の撮影でもバッテリーがなくなることはありません。
雪山などの低温時での動作確認はまだ試しておりませんので、この辺は他のレビューを参考にして頂きたいと思います。
携帯性
僕はバイクで移動して撮影することもありますので、機材関係はなるべく小型化、軽量化したいタイプです。
そういう意味では本機種は絶妙なサイズ感ですね。
フルサイズ特有の軍艦部分がありませんので、小型のザックやバッグにもスっと収まります。
そもそもがレンジファインダーというジャンルの機種ですから、それはもう携帯性に関しては満点じゃないでしょうか?
グリップも見た目以上にしっかりしていて驚きました。
機能性
まず、イメージセンサーや画像処理エンジンについては、Proという名前を冠していることからも分かるように、Fujifilmでは最新の機能を搭載しています。
それからフィルムシミュレーションの存在が大きいですね。
過去に存在したフィルムの色調や階調を再現するという、Fujifilm特有の演出としても有名です。
本機ではクラシックネガという最新のシミュレーションが搭載されていて、これがもう僕好みの質感だったので文句なしですよ。
(クラシックネガはシャドゥのキレが良く、いつもの街並みが違った表情を見せてくれます。)
そのほか、機能的と言えばダブルカードスロットなのも好印象。
僕はRAWとJPEGを分けて保存しています。
また、一部に不評のチルト式タッチパネル液晶も悪くありません。
(星景撮影など、三脚使用時には不便になる可能性があります。)
当然ながら、ボディにシーリングを施して防塵・防滴構造を実現しているのも大きなアドバンテージ。
これが某Sony製品ですと「防塵・防滴構造に配慮した設計」という言葉で濁されてしまいますから。
特に僕はPentaxユーザーだったので、機材購入時は特にこだわるポイントになります。
そのPentax目線で考えますと、手振れ補正の機能がないのは少々寂しいですね。
自分は都市夜景の撮影もするので、その際は三脚必須だなと覚悟しています。
液晶
液晶については前項で少し触れましたので、EVFについて。
今回、EVFには高解像約369万ドットの有機ELパネルが採用されています。
Nikon Z 6ほどではありませんが、およそクリアな視界が保たれていました。
僕はOVF派なのですが、望遠レンズ装着時など、FVFを多用する機会も多いのでありがたいです。
この点では、旧機種からのアップグレードを体感出来る部分かと思います。
ちなみに背面液晶のタイプはチルト派か、バリアングル派に分かれますよね。
僕の場合、あまりこだわりはなく、どちらも一長一短という感じで静観しています。
機種本体の耐久性を考えるとチルト式かなと思いますが、可動範囲の広さはそれだけ撮影の幅も広げてくれますから、バリアングル式の恩恵も捨て難い。
この辺は、まさに人それぞれだろうと思います。
耐久性
チタン特有の質実剛健なイメージ通り、ボディ本体からは堅牢性の高さを感じます。
プレスリリースでは擦り傷への高い耐性を謳っておりました。
加えて、-10℃の耐低温性能も嬉しいですね。
気になったところとしては、USBやマイク端子を格納している蓋部分と本体の接合部分の噛み合わせが弱いところ。
頻繁に開閉するところではないものの、防塵・防滴構造にしては気になりました。
このカメラで唯一、安っぽさを感じた部分でもありました。
作例
総評
正直申し上げて、良く出来たカメラです。
ノスタルジックな外観でありつつ、機能性は最新のものにアップデートされていますから、レトロフューチャー的な印象も強く、それが本機種の個性にもなっています。
背面液晶が隠れている「Hidden LCD」機構については批判も多いと思いますが、僕はこれで大きな不便までは感じていません。
むしろ撮影に集中することが出来ているのは、現実として確かにあります。
ただ、こうした物語性のあるパッケージングって、ともすると開発者の独善的な印象をも与えかねませんよね。
写真の撮り方まで細かく指示されているような、そんな錯覚を覚えたとしても不思議はないかも。
(そもそも自由に撮るのが写真の楽しさでもありますしね。)
その点を差し引いても、本機種のように限りなく趣味性にフォーカスしてくれたところは、この時代にあって、もっと高い評価が与えられて然るべきではないかと思います。
まさにこれは「写真」が撮れるカメラではないかと。
僕はそう思いました。
レンズ
おまけとしてオススメの純正レンズをご紹介。
今回4本のフジノンレンズを購入して、印象が良かった順に並べてみます。
- XF90mmF2
- XF23mmF2
- XF35mmF1.4
- XF10-24mmF4
僕は、、、何よりもXF90mmF2をオススメします。
カミソリ的な解像感もあるし、ピントも早いので撮影テンポが非常に良いです。
それから定番のXF23mmF2も良いですね。
街撮りならこの明るさで十分ですし、何よりもX-Pro3とのバランスが素晴らしい。
神レンズと称されるXF35mmF1.4は少し期待外れでした。
というよりオールドレンズ的な立ち位置と理解すれば全然アリです。
ピントが遅いのと、開放から絞っても少しぼんやりとした印象が賛否両論ではないでしょうか。
XF10-24mmF4は山岳撮影用に購入しました。
APS-Cの限界もあるでしょうが、周辺含め、解像度が気になりますね。
サイズ的には小さくてありがたいのですが、フルサイズに慣れた目には厳しいかも。
おわりに
ということで久しぶりのカメラの主観レビューを書いてみました。
僕にとっては「当たり」の機種と言えますが、それは過去に使ってきたカメラも全てそう感じていたような気が、、、しないでもないです。
真面目な話、クルマやバイクと同じで、被写体によって向き不向きがあると思います。
それを何とかオールマイティーに対応させようとして、交換レンズの存在があるわけですけれども。
すでに申し上げたように、高精細な広角風景写真や、ポートレートでとろけるようなボケ味を手に入れたい方は、フルサイズにしておくのが無難かと思います。
この点は重ねて申し上げておきたいですね。
全てのアビリティを獲得した全知全能なるカメラなど、今はまだこの世にありませんから。。。
それではカメラ好きの皆さん、良いフォトライフを。
長文失礼しました。