【Hard Rock】オジーの10年ぶりとなる新作「Ordinary Man」が近年まれにみる傑作に仕上がっていた件!【Ozzy Osbourne】
Ozzy Osborne「Ordinary Man」★★★★★
突然ですが、皆さんは音楽を聴く意味って何だと思いますか。
当然ながら「感情のマネージメント」にあると思います。
巷ではストレス解消とか、気分転換とか、言い方はいろいろありますが、要するに自身の感情を音楽によってマネージメントすることで、この辛い人生を明日も必死に生きようと誰しもがそっと心に誓うわけであります。
いや、真面目な話、感情をマネージメントするには、その引き出しは多くあった方がいい。
なぜなら人間の悩みは多種多様で、それこそ様々な感情を抱えた生き物ですから、それぞれに対応する音楽が数多あって然るべきなのです。
ここに、音楽マニアという存在に価値と意義があって、幅広い音楽嗜好は必ずや貴方の心に平静や平安をもたらすことになるでしょう。
(音楽マニア云々は記事にもしたところです。興味ある方は以下へどうぞ。)
さて、喜怒哀楽という感情で言えば、オジーの新譜はまさしく「喜」にあふれた作品となりました。
10年ぶりというスパンで発表された本作「Ordinary Man」ですが、その確信犯的なタイトルからして挑戦的です。(直訳すると「普通の男、凡人」。)
もちろんその中身は、全く普通ではない、見事な傑作に仕上がっておりました。
まずはMVから、その完成度の高さをご確認ください。
オジーって、昔からメタルゴッド的な扱いを受けてて、わりとセンセーショナルな噂にも振り回されてきた人でしたが、内実はとっても繊細で真面目なボーカリストです。
その独特な歌唱法と個性的なライブパフォーマンスによって、現在のカリスマたる地位を確固としておりましたが、それを陰で支えたのは間違いなく楽曲の良さにありました。
とりあえず、僕が今でも色褪せない名曲だと思っているオジー作品を並べてみます。
どうですか。
あえてパワーバラードをピックアップしたので、初見の方にもすんなり聴けるかと思います。
どうにもヘヴィメタルのイメージが強いオジーですが、僕としてはずっとハードロックのイメージを持っていました。
(それこそRandy Rhoadsとやっていた頃から。)
だからこそ、彼のキャリアで最もヘヴィメタルから離れた本作「Ordinary Man」は、とっても好印象なのです。
それもそのはず、プロデューサー兼ギターには、アンドリューW.K.ですよ。
しかもリズム隊には、ガンズのDuff "Rose" McKaganと、レッチリのChad Smithという驚きのキャスティング。
この2人は音楽界きっての筋トレガチ勢でもあります。
さらにSlashとElton Johnもゲスト参加するという華やかさ、、、これってもう事件ではないですか。
何よりも、この編成から繰り出される音楽性とオジーの存在感が抜群にフィットしているという事実。
オジーって、こんなに歌が上手かったでしたっけ?(失礼)
ブランディングというか、プロデュースが大成功しているように感じました。
恐らく、楽曲製作の現場においても、常にイニシアチブを握ったのがアンドリューW.K.だったのでしょう。
正直なところ、彼の才能には軽く眩暈と嫉妬を覚えます。
(あのPost Maloneも、彼のプロデュースによるところが大きいと思います。)
旧来のファンの中には、1991年発表の「No More Tears」以降、オジーへの興味や好奇心が一時的に薄れてしまった方もいらっしゃるかと思います。
僕もその一人です。
前作「Scream」(2010年)にしても、ヘヴィネス志向は個人的に大歓迎なのですが、何となく今のオジーに楽曲がフィットしていないというか、ちょっとした違和感をずっと感じていました。
それが本作では、あらかた吹き飛んだ感じです。
ああ、ヘヴィメタルではなくてハードロックに回帰すれば良かったのねと。
(本作ではハードロックを飛び越えてポップスの沼地に両足突っ込んでますけど。)
それと、今回はジャケも最高です。
こんな元気なオジーを見ていると、こちらも元気になっちゃいますね。
ぜひまた、このラインナップでもう1枚ぐらいポップなアルバムを作ってもらって、最終的にはOpethみたいな泥臭くて陰湿なプログレッシブロックをオジーにやってもらいたいです。
(サバスからのファンもきっと喜ぶと思います。)
プライベートではパーキンソン病であることを告白し、その健康に不安もありますが、長生きして欲しいアーティストの一人です。
ひとまず、素晴らしい音楽をありがとう、オジー!