【Future Funk】80年代日本語ポップスをフィルターディスコで歴史を紡いだNight Tempo
突然ですが、近年、Future Funkというジャンルが生まれた模様です。
DJという手前、各方面にアンテナを貼っているつもりですが、紹介が少し遅れました。
元はVaporwaveというジャンルから派生しているようですが、このVaporwave自体が2010年代初頭を起源としていますので、とにかく新しいジャンルであることは間違いありません。
どちらにしてもインターネット派生型のコミュニティジャンルの1つとも言えます。
まずは音源を聴いてみましょう。
このボーカルサンプリング、どこかで聴き覚えがありますか?
80年代を通ってきた場合、すでにピンと来た方もいると思います。
そうです、答えはラ・ムーの「少年は天使を殺す」です。
(ラ・ムーだからラムちゃんを使っているというネタでしょう。)
驚いたことに、これを作ったのは日本人ではなく、韓国在住のNight Tempo。
すでにFuture Funkの代表格と言える人物です。
恐らく日本語自体はそれほど堪能ではなく、どちらかというと「音色」の1つとしてサンプリングしているんだと思います、たぶん。
それでは特に僕が気に入った音源を紹介していきますね。
このレトロフューチャー感、いかがでしょうか。
かつての邦楽からボーカルをサンプリングし、音楽的にはフィルターハウス&ディスコハウスに落とし込むという手法です。
これがもし日本語を使っていなければ、既存のフィルター系としてシーンに埋没する可能性もあったと思います。
例えばこのDJ Kueが2006年に発表した曲。
Future Funkにおいては、日本語がいかに重要な役割を果たしているか、お分かりかと思います。
ところで、説明が前後してしまいますが、そもそもフィルターハウスとかフィルターディスコって何なのかと言えば、要するにDaft Punkです。
Daft Punkはアナログシンセのフィルター効果やミキサーのEQを使って、それこそギターのワウペダルのように、音色の変化を強調させた楽曲を高品質に量産しました。
楽曲についてはディスコという歴史を参照したものであることは、2013年に発表した「Random Access Memories」で皆さんもご存知の通りです。
「Random Access Memories」は超がつくほどの名盤なのでぜひ聴いてみてください。
過去に僕も記事にしております。
ということで、Future Funk、これからさらに勢いが増す可能性ありです。
特に近年の音楽カルチャーはネット派生型、要するにネットコミュニティからの爆誕が目立ちます。
日本に限って言えば、同人マーケットの「M3」は回を増すごとに来場者数が上昇していますし、日本人クリエイターもそこを起点に知名度を上げていくパターンが見受けられます。
「M3」には僕も足を運びましたが、CD不況という言葉が空虚に聞こえるぐらい、とても賑わっていました。
ジャパニーズドリームではないですが、可能性を秘めた市場であることに異論はありません。
そしてFuture Funkの場合、邦楽やアニメ、ゲームなど、日本のサブカルチャーに影響を受けた海外のクリエイターが主に制作しているという点が非常に面白いです。
最近では日本人クリエイターも増えつつあるようですが、こうした逆輸入的な側面が、僕ら日本に住む人間にとっては新鮮且つ懐古的で心地良いのかもしれません。
なので場面によってはFuture Waveと呼称しても良いのではないかと思います。
ジャンルは違いますが、Mitch Murderやnanobiiなど日本のサブカルチャーに影響を受けたアーティストが大好きな自分にとっては、これまた注目せざるを得ないアーティストの登場となりました。
Night TempoがJ-Popのフィールドで活躍する日もそう遠くはないでしょう。
間違いなく、たぶん。