【Rock】One Ok Rockの野望
One Ok Rock「Ambitions」★★★★★
前作「35xxxv」を手放しで絶賛した私だが、本作もそうせざるを得ない状況にある。
前作よりも緩急のあるアレンジが見事にOne Ok Rock独自の世界観を構築しており、ベテランの風格すら漂わせる内容だからだ。
世界、特に米国を見据えた楽曲の構成力はさらに高まり、メタルコアまで行き過ぎない絶妙なエモ加減、つまりはポップパンク&オルタナティブでストレートなロックが炸裂する新作「Ambitions」。
和訳すれば「野望」というアルバムタイトルにふさわしく、彼らの代表作「Nicheシンドローム」時代とは完全に決別したかのようにも見える佇まいだ。
旧来のファンからするとこの点が賛否両論となる恐れもあるが、この絶妙な変化は間違いなく音楽的な進化そのものと言えよう。
冒頭でも述べたように、静と動、要するに緩急の付け方及び音色の選び方が素晴らしく、それがフックとなって各楽曲の魅力が底上げしている点、これは揺るぎようのない事実である。
また、英詞中心の内容となることで日本人からすると直接的なメッセージ性が減退したかのように見えるが、「We are」「Listen」など単純な英単語によるサビの構築はあまりにも痛快無比。
これは例えば、ロック由来の初期衝動が言語を問わず美旋律の洪水となって押し寄せてくる感覚、と言えば少しでも伝わるだろうか。
個人的にはAnberlinやDestine、Lovexと初めて対峙した時のような、全方向に突き抜けたバンドの勢いをひしひしと感じる傑作である。
前作で世界(米国)という方向性が明確に定まり、ひとまずは本作で本領発揮といったところだろう。
かつてバンドブームに熱狂した世代も楽しめる、21世紀型ポジパンの最新形態、、、というのは果たして言い過ぎかもしれない。
それでも、このアルバムを聴き終えた時の清涼感は間違いなく「本物」である。
ONE OK ROCK: We Are [OFFICIAL VIDEO]
ONE OK ROCK - Taking Off [Official Video from Nagisaen]