【J-Pop】安田レイの復活はJ-Popの復活である
安田レイ「Will」★★★★☆
元気ロケッツのVocalとしてもお馴染み、安田レイが満を持してソロデビュー。
果たしてその中身は、高品質な楽曲がひしめく純然たるJ-Popアルバムそのものであり、元気ロケッツとは一線を画した内容も好感度抜群である。
当時と比べても、その歌唱力は格段に向上しており、特にバラード系楽曲における潤いと憂いが交錯する歌声は、およそDivaの称号にふさわしいクオリティと言えるだろう。
そもそもが宇多田ヒカルという偉大なDivaの喪失により、日本の音楽界、特にJ-Popの衰退は決定的となり、昨今の音楽不況という厳しい現実がある。
「売れるのはアイドルソングだけ。歌の質なんて二の次。」
そんな時代が来るとはさすがのASKAにも想像出来なかったことだろう。
しかし、このような厳しい環境の中で、安田レイは勝負を仕掛けてきた。
この挑戦者たる意気込み、世間はもっと評価するべきである。
加えて、タイアップを取るのが非常に難しい今の時代において、プロモーションを担当するレーベル側の努力も相当なものだ。
結果的にその熱量、そして熱気が自然とアルバムの原動力にもなっている。
序盤から「Best of my Love」と「Brand New Day」そして「パスコード4854」がリード曲となり、後半では「Regret」「Mirror」「Let It Snow」が花を添え、エンディングでは元気ロケッツ屈指の名曲「Heavenly Star」がお目見えするという素晴らしい構成。
音楽的にも流行りのEDMに寄り過ぎず、しかし離れ過ぎず、往年のZard的J-Popのように、絶妙なバランスを保っているのはプロデューサーの手腕によるものと言っていい。
しかしながら、全体を俯瞰すると決定力不足という側面もあり、この時点で宇多田ヒカルの大名盤「HEART STATION」と比較するのはソロデビュー直後の彼女にとっても酷だろうと思う。
あくまでも宇多田チルドレンによるJ-Popアルバムであり、これがシーンの活性剤となるのは疑問の余地もない。
願わくば、次回作ではさらにバラエティ豊かな内容となることを期待したい。
J-Popは永遠に不滅なのだ。
安田レイ 『1stアルバム「Will」全曲ダイジェスト』 - YouTube
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